先週末の動員ランキングは『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が土日2日間で動員227万3000人、興収30億4100万円をあげて、先週に引き続き圧倒的な強さで2週連続の1位となった。驚かされるのはその前週比の高さで、動員、興収ともに90%以上の水準を維持。公開から10日間、10月25日(日)時点での累計動員は798万3442人、累計興収107億5423万2550円。どうしてこんなにとてつもない歴代新記録が可能となったのか、その一つの背景については先週のコラム(https://realsound.jp/movie/2020/10/post-640924.html)でも書いたが、最終興収がどこまでいくかは別として、興収100億円に達するスピードという点では今後も塗り替える作品は現れないのではないだろうか。

というわけで、相変わらずテレビや新聞などのレガシーメディアはどこもかしこも鬼滅鬼滅鬼滅で、例えば先週の週末動員ランキングで2位(動員も興収も『鬼滅の刃』の20分の1以下だが)に初登場した『きみの瞳が問いかけている』を筆頭に、同時期に公開された中規模〜大規模公開作品は話題に上がる機会も限られて思いっきりその割りを食ってしまった。こればかりは歴史的大ヒット作とタイミングがぶつかってしまったことの不運を嘆くしかない。

 ………………………………。ない。全然ない。今週末公開の日本映画としては、東宝の『罪の声』、東映の『映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』、ワーナーの『とんかつDJアゲ太郎』などが控えているが、いずれの作品も『鬼滅の刃』の対抗勢力となりそうな機運はない。小栗旬&星野源がリードロールを務め、テレビドラマではヒット続きの野木亜紀子が脚本を手掛ける『罪の声』ならあるいは?と思う人もいるかもしれないがーー作品を観た上で言わせてもらうと、口コミでの広がりなどもあまり期待できず、相手にならないと思う。いずれにせよ、『鬼滅の刃』の公開日から1ヶ月以内に公開される作品は、どの作品もシリーズのファンや出演者のファンといった固定客以外の浮動票を獲得するのは極めて困難な状況だ。

 ちょうどその「1ヶ月」以上が経って、当初の8月公開予定から『ドラえもん』同士の玉突きによって11月20日に公開される運びとなった『STAND BY ME ドラえもん 2』はどうだろう? 2014年8月に公開された前作『STAND BY ME ドラえもん』のオープニング週末2日間の興収は7億6724万8000円。それでも先週末の『鬼滅の刃』の4分の1の成績だが、そもそも前作と同じ水準のヒットを記録できるかどうか。自分は、『STAND BY ME ドラえもん 2』が『鬼滅の刃』を1週でも抜き去るのは難しいと予測する。

 もちろん、来年になれば東宝&東映&カラー共同配給の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年1月23日公開予定)のような超強力作も控えてはいるが、このままだと年内は『鬼滅の刃』がずっと1位を独走することもあり得る情勢だ。え? 「12月18日には『ナイル殺人事件』(ディズニー)が、12月25日には『ワンダーウーマン 1984』(ワーナー)が世界同時公開されるでしょ」って? 自分はあまり悲観的なタイプの人間ではないけれど、アメリカとヨーロッパ各国における新型コロナウイルスの最新の感染状況を見て、年内の世界同時公開作品がまだ予定通り公開されると思えるほどの楽観主義者ではない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0fa50c4550144dc385d311569a6703d7081d9d27
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