往年のハリウッドの名優、アーネスト・ボーグナインの吹き替え(アテレコ)などで有名な俳優・声優の富田耕生さんが去る9月27日に亡くなった。死因は脳卒中。享年84だった。

富田耕生さんといえば、昭和42年生まれの筆者的には『マジンガーZ』(’72年)の宿敵・Dr.ヘル等のヒール役や、『ゲッターロボ』(’74年)の早乙女研究所所長・早乙女博士といった冷静沈着・頭脳明晰な博士役の名演技が鼓膜に蘇る。……にも拘らず、真っ先に脳裏に浮かぶのは、かのドラえもんの姿だ。

大山のぶ代さんの二代前! 初代ドラえもんの声を演じる
 原作者の藤子・F・不二雄先生をして、大山のぶ代さんに「ドラえもんってああいう声をしていたんですね」と言わしめたというエピソードが語り継がれるほど、ドラえもんは大山のぶ代さんのハマり役となったが、じつは大山さんは二代目どころか三代目。テレビアニメ版『ドラえもん』の最初の声は、この富田耕生さんが演じていた。現役の水田わさびさんで四代目を数えるドラえもん役だが、知っている人には当たり前、知らない人にはやや驚きのトリビアだろう。

 ただ、原作初期のドラえもんは、藤子・F先生自身、“おっさんキャラ”として描いている節があり、てんとう虫コミックス第1〜6巻辺りまでの原作に慣れ親しんだ当時の子供たちにとっては、富田さんの声にそんなに違和感を覚えることはなかった。ここでもう少しだけ補足をさせていただくと、富田さんの後任の二代目ドラえもんの声は、かの野沢雅子さんに交替して視聴者はビックリ! 富田さんが演じている期間中も、『ドラえもん』と同時刻のフジテレビ系では『マジンガーZ』がオンエアされ、つまり富田さんは日曜日の夜7時から、国民的猫キャラと、ロボットアニメ史に残るラスボスを全く同時に演じていたことになる。これも何気にすごいことだろう。

ヒールから博士、動物まで 七色の声を持つ男
 よく声優は、「七つの声を持つ」とか「十人十色、10人の声を同時に演じ分けられねばならない」などと言われ、その声(芸)域の幅広さが声優たり得る条件だったり、同時にそれが特技だったりもするが、富田さんはまさしくそれを体現していた名優のひとりだ。

 先述のとおり、狡猾な悪役や、頼れる博士役の他にも『まんが 花の係長』(’76年)の主人公、しがないサラリーマンの綾路地麻朱麿呂(あやのろじましゅまろ)や『平成天才バカボン』(’90年)の二代目(初代は雨森雅司)バカボンパパの声に代表される、憎めないおっさん役。『もーれつア太郎』(’69年)のカエルのキャラ・べしとブタ松、『魔法使いチャッピー』(’72年)のレッサーパンダのドンちゃん役などの、ペット的動物役。そして、ドラえもんや『惑星ロボ ダンガードA』(’77年)のロボット・タマガー、『SF西遊記スタージンガー』(’78年)のドン・ハッカ等の非人間型コメディーキャラ、さらには大人気バラエティ『あっぱれさんま大先生』(’88年)のナレーションと、番組マスコットのワシャガエルの二役を演じ、明石家さんまさんからも一目も二目も置かれていた。

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