−−5年前は否決の民意。非常に僅差だったが。

 大阪都構想について再度、大阪市民の意思を聞くのは不合理ではない。世の中の状況は5年もたてば大きく変わる。ビジネスの世界では5年もたてば隔世の感だ。政治の場においては最新の民意が尊重されるべきで、環境・状況の変化に応じて過去の決定を変えるのは当然のことだ。

 −−5年が経過し、大阪市民の考え方は変わったか。

 変わっている。前回の住民投票での説明は、府と市を合わせてどうなるのか、全て頭の中で考えた、抽象的で理論的な話だった。だから有権者にピンと響かず否決された。でも今は、松井(一郎・前大阪府知事、現大阪市長)さん、吉村(洋文・前大阪市長、現府知事)さんの体制になって、府市一体の力を実感・体感してもらっている。象徴例がコロナ対策。他の府県や政令市と比較しても、対策を講じるプロセスは非常に円滑だった。今までなら、知事と市長がそれぞれの対策をPRし、整合性が取れないことが多々あった。今回は早々と司令官は吉村さんと決めた。府市一体の必要性についてくどくど説明しなくても住民の皆さんには伝わっていると思う。吉村知事のコロナ対策への高評価にも表れている。

――その他府市一体の力の例は。

 僕がやり残した大阪府立大と大阪市立大の統合(2022年4月)や、25年の大阪・関西万博誘致も松井さんと吉村さんの府市一体の力で実現できた。新大学は、世界の大学ランキングで10年以内に大阪大を抜いて200位以内を目指すと発表できるところまできた。1970年の大阪万博は、会場が吹田市で、府が主導的に進めることができたが、今回の万博が決定的に違うのは、会場は大阪市内の土地。これまでの府と市の関係だったら絶対に実現できない夢物語だったはず。08年に誘致を目指した大阪オリンピックは市が旗を振ったが力不足。これくらいのイベントは府が府内市町村も含めて旗を振らなければ実現できない。しかし万博会場予定地の夢洲は、本来は倉庫街にするという市の計画だった。夢洲にカジノや万博を誘致することは、市役所は猛反対だった。僕が知事で、当時の平松(邦夫・元大阪市長)さんが市長のままだったらこの話はまったく進まなかっただろう。知事と市長が同じ政党に属し、二人の間に松井さんが上司、吉村さんが部下という関係があるから具体的に進んだ。この関係を恒久的にして、二度と知事と市長が並立にならないように制度化するのが大阪都構想の本質だ。

 −−知事、市長の経験を踏まえ、なぜ都構想なのか。

全文はソース元で
https://mainichi.jp/articles/20201010/k00/00m/040/131000c
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