10/7(水) 22:10配信 毎日新聞
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 新型コロナウイルスの感染拡大で来夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックで、大会組織委員会は大会簡素化による費用削減効果を約300億円と試算し、7日の国際オリンピック委員会(IOC)理事会に報告した。昨年12月に発表した大会経費1兆3500億円の2%程度の圧縮となった。引き続き、計画の見直し作業を進め、年末に公表する第5弾(V5)予算に反映させる。

 組織委とIOCはコロナ対策や延期に伴って増加が予想されるコストの削減のため、計画を見直し簡素化を図ってきた。第1段階として9月、見直す52項目を公表し、削減効果を精査してきた。報告後に東京都内で記者会見した組織委の森喜朗会長は「よく300億円削ったなと思う。IOCの評価も高かったと思っている」と述べた。

 項目別では、会場の仮設施設などの見直しに伴う削減効果が約150億円で全体の半分を占めた。仮設スタンドやプレハブの削減を進めた他、練習会場など24会場の照明設備を減らすことで経費を抑えた。

 選手を除く大会関係者の参加(五輪は約5万人)を10〜15%削減することで約10億円圧縮したほか、聖火リレーの隊列の削減、バス輸送サービスなどの見直しで削減効果を生み出した。

 簡素化の成否は大会開催に向けた機運作りにも大きく影響する。組織委とIOCは「東京モデル」として効果を強調するが、放映権者の意向で開閉会式の見直しに踏み込めていないなど限界も露呈している。

 限定的だった圧縮額とは一転、延期に伴う契約延長などの追加経費は3000億円規模に上るとみられ、コロナ対策費も膨らむ可能性がある。暑さ対策や道路整備費など大会関連費を含めれば、3兆円を超えると会計検査院が昨年12月時点で指摘している大会開催費はさらに増える見通しだ。

 記者会見で組織委の武藤敏郎事務総長は「延期に伴う追加コスト全体が、どのくらいになるか積算しているさなか。コロナ対策は対応によって費用が変わるため、こちらの数字も手元にない」と述べた。【倉沢仁志】