ボン・ジョヴィ、歌は人を一つに…コロナ禍だけど今できることを 新アルバムに込めた願い
2020年10月4日 6時0分スポーツ報知
https://hochi.news/articles/20201003-OHT1T50366.html
4年ぶりのアルバムを発売するボン・ジョヴィの(左から)ジョン・ボン・ジョヴィ、デヴィッド・ブライアン、ヒュー・マクドナルド、フィル・X、ティコ・トーレス
https://hochi.news/images/2020/10/03/20201003-OHT1I50366-L.jpg


 世界的人気を誇る米ロックバンド「ボン・ジョヴィ」が4年ぶり15作目のアルバム「2020」を発売した。ボーカルのジョン・ボン・ジョヴィ(58)がスポーツ報知のリモートインタビューに応じ、新型コロナウイルスや人種差別問題など未曽有の危機に見舞われた2020年をタイトルにつけたアルバムへの思い、1984年のデビュー時からゆかりの深い日本のファンへのメッセージなどを熱く語った。(高橋 誠司)

 インタビューは質問にジョンが動画で答える形式で行われた。真っ先に口を開いたのは、新型コロナの感染拡大を受け、米国で外出規制が始まった3月末に作ったという「ドゥ・ホワット・ユー・キャン」についてだった。

 「まさにタイトル通り。人間、普段やっていることをできない時は『やれることをやるしかない』と思ったんだ」。自身の運営する飲食店で皿洗い中、妻のドロシアが撮影した写真のキャプションについての会話の中から着想が生まれ、翌日には曲が誕生したという。「ボン・ジョヴィの最新アルバムが伝えようとしているのは、オプティミズム(未来への明るい展望)だ。この曲はまさにその精神を表しているのさ」

 世界最多の感染者が出ている米国で、ジョンの周囲も容赦なくコロナ禍に見舞われた。キーボードのデビッド・ブライアンが感染。検査は受けていないが、3月に体調不良だった次男も感染の可能性があったという。予定していた世界ツアーも断念し、「コロナが全てを停止してしまった」。だが、そのオプティミズムで発想を転換した。「それならば『レモンからレモネードを作ろう!』、つまりあるもので何かを作り出そうということだ。おかげでアルバムに加える新曲を書く機会に恵まれた。家族や親しい友人たちとゆっくり過ごすことや、自分を振り返る時間ができた」

 「2020」というタイトルには当初、深い意味はなかったという。「大統領選の年にぴったりのかわいいTシャツでも作れるからといった、たわいもない考えからだった。その後、曲にしなきゃならない時事問題が次々と起こり、僕が想像もしなかったような形にアルバムは変わり始めた」

(中略)

 デビューアルバム「夜明けのランナウェイ」が日本でゴールドディスクを記録し、欧米に先駆けて人気に火がついた。「その時以来、日本は常にボン・ジョヴィを信じてくれてきたんだ。流行やブームはやってきては廃れるものだ。その過程でたくさんのバンドが姿を消した。でも、どんな時も日本のファンはいてくれた。みんなの人生の一部に僕らをさせてもらえたこと、どれだけ感謝してもしきれないよ。これから先、まだ何年もそれが続くことを祈っている」

 コロナの収束が見えない状況の中、コンサートができないもどかしさが募るが、ジョンは「まずはニューアルバムを聴いて楽しんでほしい。『また日本に行くよ!』と言える日が早く来ることを願っている。それまでは心の中でみんなのことを思っているよ。安全で、健康でいてくれ」と呼びかけた。「Woah, we’re half way there! Woah,Livin on a prayer!」。熱狂渦巻くライブ空間で、世界のアンセム(シンボル的な賛歌)となった「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」を再び大合唱する日を待ち望んでいる。

(中略)

 ◆日本盤には+2曲収録

 ○…アルバム「2020」は10曲に加え、日本盤では2曲のボーナストラックが収録されている。サメが血に反応して攻撃的になるという意味の「ブラッド・イン・ザ・ウォーター」では、移民問題、弾劾(だんがい)、内部告発などトランプ政権の負の側面を痛烈に批判している。「非常にきわどいトピックを扱っている曲だが、僕は事実だけを引用している。こいつが悪者だとは言っていない。これが実際に起きたことだと言っているだけだ」

●Bon Jovi - Do What You Can
https://www.youtube.com/watch?v=vh6ctK7ONo0