新型コロナウィルスの感染拡大は、米国のスポーツシーズンにも大きな影響を及ぼした。3月のリーグ中断から無事に再開を果たしたNBA、オープン戦途中で中断になり、試合数を減らして開幕したMLB、新学期に入り学生がキャンパスに戻り、クラスター感染が多発しているなかで、強硬にシーズンを開始した大学スポーツの花形アメリカンフットボール。

 各スポーツがどのようなコロナ対策を立て、どんな状況になっているのだろう。

■選手を1カ所に完全隔離したNBA

「試合が終わりバブルの外に出たら、マスクをしていない人もいて驚きました。バブル内は本当に安全だったと今更ながらに実感しています」

 そう話すのは、NBAオーランド・マジックでアスレチックトレーナーを務めていた田島彰人さんだ。

 3月中旬にリーグが中断。一時はそのままシーズン終了かとも噂されたが、NBAはフロリダ州にあるディズニー・ワールドの施設の一角に『バブル(隔離空間)』を設け、22チームの選手と関係者を入れて、リーグ再開を果たした。

 再開にあたって、NBAは厳格なガイドラインを定め、最大限の感染対策を行った。

「検査も毎日行われ、検査結果はGM、オーナー、メディカルチームに送付されました。陽性になった選手は3日間隔離され、陰性が2回でたらチームに合流できる規則です」

 選手一人ずつにBluetoothに接続された体温計や酸素濃度計が配られ、毎朝測定が義務づけられた。そのデータはマジックバンドと呼ばれるリストバンドに繋がっていて、体温などが未測定だった場合は施設内に入れない仕組みになっていたという。

 バブル内にはヘアサロンやゴルフの練習場などもあり、試合以外は部屋に幽閉という状態ではないが、バブル外に出たり、出前を取った選手は自主隔離のペナルティが科され、マスクを着用せずにウロウロすると警告があるなど、厳しい制限もあった。

(中略)

■MLBでは細かな規則を配布したが……

 チームをバブルに入れたNBAとは異なり、MLBは飛行機やバスでの移動を伴いながら、遠征を行っている。

「コロナで色々な状況が変わってしまったので、新たな環境や状況に適応できるようにベストを尽くしています」と話すのは、アリゾナ・ダイヤモンドバックスでアスレチックトレーナーとして働く谷沢順子さん。

 アスレチックトレーナーという通常業務に加え、強力な消毒スプレーを持ち歩き、選手が触った場所にスプレーする「消毒係」としても奮闘中だ。

 MLBはマスク着用、物理的距離をとること、ホテルからの外出禁止、グループでのミーティングや食事の禁止、バス移動の際の台数、スタッフの人数制限など細かな規則を配布したが、開幕当初は足並みがそろわなかった。チーム内でクラスター感染が発生し、問題になったのがマイアミ・マーリンズとセントルイス・カージナルス。両チームの無自覚な行動で感染が拡大。その影響で43試合が延期の憂き目にあった。

 ダイヤモンドバックスはMLBの規則に沿って、移動の際の注意を徹底した。

「選手が後方座席、スタッフは前方でしたが、選手が固まって座ると、感染者が出た際に周囲の選手も濃厚接触者になり、隔離の必要性がでるため分散して座らせています。陽性者が出た時に周囲に誰がいたか、などすぐに感染経路を特定できるように席を移動するのも禁止されています」(矢沢さん)

 スタジアムでも選手同士が3密にならないように、通常のロッカーに加えて、会議室やVIPルームなどもロッカーとして使用しているほか、チームスタッフも、アスレチックトレーナーのように選手と直に接するスタッフ、接しないオフィススタッフ、外部スタッフの3つのグループに分けられ、それぞれ異なる部屋、通路を使うなど、互いに接触しない努力をしている。

 徐々に陽性者が少なくなり、9月11日からの1週間では1万2381件の検査を行い、陽性者は控えのマイナーリーガー2選手のみ。開幕当初は不安視されていたものの、終盤に入ってリーグ一丸でのコロナ対策が実っている。

■大学アメフトでは「100名以上いる部員のほとんどが感染した」

(全文ソースでご確認下さい)

2020/09/30 17:00
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