ノーベル平和賞を共同受賞した実績を持つ国際人権NGО「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW/本部ニューヨーク)が、日本のスポーツ現場における子どもの虐待やハラスメントを調査。25歳未満のアンケート回答者381人のうち、約2割が指導者などから暴力を受けているといった実態を7月下旬に発表した。
時を同じくして、2018年に岩手の県立高校で男子バレーボール部員だった新谷翼さん(当時17)が自殺したのは、顧問の不適切な指導が一因だったと第三者委員会で認定された。

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ほかにも、コロナ禍の闇部活や、部員への暴力が原因で監督の座を追われるといった不祥事が相次ぐバレー界で、この状況を本気で変えようと尽力する元日本代表選手たちがいる。
6年連続で「子どもを怒ってはいけない」小学生のバレーボール大会を主催する益子直美さん(54)と、小中高の全年代で全国制覇を経験し、2004年アテネ五輪に出場しながらも、講演などで「バレーを楽しもう」と呼びかける大山加奈さん(36)だ。2人が思い描く日本バレーの未来とは。

■暴力や暴言の経験は引退後の今も引きずっている

 ――まずは益子さんのお話から。暴力や暴言を受けた経験は? 

 益子直美(以下、益子):私は中高で経験があります。たたかれるのは嫌だけど、私は暴力以上に暴言が嫌でした。一発ぶたれるほうがまだスッキリするんですよ。後を引くというか、言われた言葉がずっと今でも残っていますね。

 大山加奈(以下、大山):今でも? 

 益子:「お前は本当デカいだけだ」とか、「大事なときに決めないと、真のエースではない」とか。それ自体は事実だろうけど、それって指導なのかな。(亡くなった)新谷君も、暴力ではなく暴言で追い込まれたと報道されてるよね。彼の気持ちが私にはよくわかる。

 大山:そうですね。暴言も言葉の暴力ですよね。

 益子:今でも夢を見るの。全日本時代から1年に1回とか、引退してからもずっと。橋の上から自殺をする夢とか。チーム全員で死んでお詫びを、みたいな。それで私だけ飛び降りられない。うわーって飛び起きちゃいますね。スパイク決められなかった責任とか、自己否定をずっとずっと積み重ねてきた結果だと思うんだよね。「私、本当にダメだな」っていう劣等感を、ずっとずっと引きずっています。

大山:驚きます……。私は小学生のころはきつかったですが、中学、高校は違う指導なので、そこまで追い詰められてはいません。

 ――今でも夢でうなされる。完全にPTSD(心的外傷後ストレス障害)ですね。益子さんと大山さんは18歳違いなので、多少違いがありますね。

 益子:中学も高校も、当時はそういう指導が本当にポピュラーというか、それしかなかった時代だった。大人気だったアニメの「アタックNo.1」の主人公に憧れてバレーを始めて。(主題歌のサビである)「苦しくったって、悲しくったって、コートの中では平気なの」でしょ? 

 それが私が見てきたバレーボールで、それが普通だと思っていたので、何ら不満もなかった。怒られて、ぶたれてるときはすごくつらかったんですけど、それはしょうがないと思って、ずっとやって、引退までやってきたんだよね。

 大山:私も小学校の6年間は、それが普通で。逆に、自分たちはほかのチームの子たちに比べたら全然マシだと仲間と言ってました。ほかはもっとひどかった。

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/a0aa3daa1d17585517df949bb115af8e871a8df8?page=1
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