安彦考真(42歳)はまるで漫画のような人生を歩んでいる。

高校卒業後、憧れのカズ(三浦知良)を追うようにブラジルへ渡り、帰国後は清水と鳥栖の入団テストを受けるも、あと一歩のところで合格ならず。その後はサッカークラブの通訳や日本代表選手のマネジメント、通信制高校の講師などとして働きながら、順風満帆な社会人生活を送っていた。

しかし、39歳で再びJリーガーを目指すと一念発起し、クラウドファンディングでトレーニング費用を集め、40歳でJ2の水戸と異例の「年俸10円」で契約。そして昨季、J3のYS横浜で41歳1ヵ月9日のJリーグ最年長デビューを果たした。

40歳目前だった彼は、約1000万円の年収を手にし、何不自由のない生活を送っていた。しかし、すべてをなげうったことで一度は諦めたプロサッカー選手になるという夢を叶(かな)えたのである。


その異色のキャリアと実質"0円Jリーガー"というキャッチコピーはメディアの目に留まり、先月には人気バラエティ番組『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)でも特集されたほど。

しかし、プロ3年目、YS横浜で2シーズン目を迎えている安彦の今季の年俸はわずか120円。いったい、どうやって生活をしているかは気になる。

「おカネはなければ、ないなりになんとかなりますよ。昨季は個人スポンサーと月20万円の契約を結んでいましたけど、やっぱりおカネで魂を売ったらダメですね。今季は断りを入れさせてもらい、今は相模原市の実家に戻って、父親の軽自動車を借りて練習に通う日々です。

サラリーマン時代は稼いだお金はすべて使い、いい場所に住んで、ブランド物の服を着たりすることがステイタスだと勘違いしていましたね。今は物欲はすっかり消えました」

大変だったのはプロ1年目、寮暮らしだった水戸時代。朝食時にプラスチック製の容器を持参し、そこに白飯と梅干しを詰めてランチにしていた頃だと振り返る。

「それでも、そんな僕を見かねた20歳前後の選手たちがよく食事に誘ってくれて(苦笑)。普通は断るところなんでしょうけど、僕の中では奢(おご)ってもらっているという感覚はなくて、1000円のランチなら2000円分の話、3000円の夕食なら6000円分の話をしてチャラ。まあ、こんなキャラですし、若手も面白がってくれていました(笑)」

https://news.yahoo.co.jp/articles/941d5b4b7211c15e197f240db65c01a35ee5fceb