元モーニング娘。の12期メンバーだった尾形春水さん。卒業後、YouTubeチャンネル「Haruna Ogata」に投稿した、アイドル時代の過激なダイエット経験を語る動画が話題に。一時は35キロまで痩せてしまい、リバウンドして60キロとなった経験を自身の失敗談として明かしていた。激しいダイエットに至った経緯や、プロ意識があるからこそ生まれるアイドルとしての葛藤を語ってもらった。

■「私を太らせるためやん!」過激ダイエットで疑心暗鬼になったアイドル時代
――尾形さんが実践したダイエットは「炭水化物は毒」「食べる量は紙コップ1個分」などという極端なものでしたが、ご自身で改めて振り返ってみて、どう思いますか。
【尾形】すごく危険やったなあと思います。体重も半減して。それだけ必死にアイドルをやっていたんだとも思うけど…。メンバーやスタッフさんなど、いろんな人が心配して助けようとしてくれて、ご飯に誘ってくれたのに、「私を太らせるためやん!」と思っちゃって、全部断っていました。私はグループの中でとにかく何かの1位になりたくて、細さで1位になろうと思っていたのに、他の人に1位をとられたら困るじゃないですか。メンバーは結局、ライバルやから、メンバーの言葉は全く刺さらなくて。

■ファンや家族を心配させないために…手作りご飯や甘いモノを”食べたアピール”していた
――お母さんが来たときは、手作りのご飯や甘いモノも食べていたと動画で語っていらっしゃいました。それは、心配させないようにという思いからだった?
【尾形】お母さんに対してだけじゃなく、ファンの方たちにむけても、ブログで「食べてます」アピールをしていたんですよ。「食べてるけど、痩せちゃう」みたいな、かよわい女の子になりたかったのかな(笑)。差し入れでいただいた物を、写真だけ撮ってブログにのせて、「美味しそうでした」なんて不思議なコメントつけて、「ほんまに食べてんのかなあ」とファンの人を困惑させたこともありました(苦笑)。生理が止まって、お母さんに「食べてないのにこんなに痩せるんやったら、なんかの病気ちゃうか」と血液検査に連れていかれたこともありましたが、結果は全然問題なくて。
――親御さんはどうおっしゃっていますか。
【尾形】親は私が高校1年生で上京したときに、「自分のもとからいなくなっちゃった」と言っていたんですよ。だから、卒業した日に「おかえり。私たちのもとに戻ってきてくれたね」と言われたのが印象的で。へたに口出しすることもできんし、アイドルのこともわからへんし、親は心配だと感じてはいても、何も言えなかったんじゃないかと思います。
――ファンに言われて一番うれしかった言葉、一番嫌だった言葉はそれぞれ何ですか。
【尾形】パフォーマンスを褒められることがあまりなかったから、嬉しかったのは、パフォーマンスを見てくれての言葉ですね。逆に嫌だったのは、「健康的になったね」とか。私にはそれが「太ったね」という言葉に聞こえて、「自分が一番わかってるから!」と思いました。また、少しリバウンドしてから「今くらいの体型がちょうど良いよ」とも言われたけど、自分では細い状態に満足していたから、そう言われると「違うのになあ」と思っていました。
――動画では「太っているときも痩せているときも、極端なときには人の言葉が信じられなかった」とおっしゃっていましたが、なぜそういった思考回路になったのだと思いますか。
【尾形】極端なときは、のめり込み過ぎている状態だから、今さら人に何か言われても変えられない状態になっていたんだと思います。ちょうど新メンバーが入った時期で、“推し変”(自分が推すメンバーを変えること)した人が結構多かった時期とも重なるんですよね。
――“推し変”ってどこでわかるんですか。
【尾形】握手会で自分の列に並んでいた人が別の子の列に行ったとかもありますし、コンサートだとTシャツやキンブレ(キングブレード。ペンライト)の色でもわかりますし。それと、私の場合はめちゃめちゃエゴサしてたから、Twitterのプロフィール欄に推し歴で「はーちん(尾形の愛称)→〇〇」みたいに書いてあるのを見ると、新メンバーが入ったタイミングで、私自身が太って自信を持ってステージに立てていなかった時期と重なっていて、「あ、あの時期や」とわかっちゃうんですよね(苦笑)。違う子のところにいっちゃったんだって…。

紀伊民報2020.8.9(文字数制限のため一部抜粋)
 https://www.agara.co.jp/article/74921