南杏子の小説を映画化する『いのちの停車場』(2021年公開)で吉永小百合が主演を務めることが発表され、自身初の医師役に挑むことが明らかになった。

 本作の原作は「サイレント・ブレス」やNHKで放送中のドラマの原作である「ディア・ペイシェント」などの作品で知られ、都内の終末期医療専門病院に勤務する現役医師でもある南の同名小説。長寿社会における日本の現代医療制度の問題点や、尊厳死・安楽死などの医療制度のタブーに正面から向き合い、携わる医師や患者、その家族の姿を描く感動の物語が描かれる。主演を務める吉永は、122本目の出演作となる本作で初めて医師役に挑む。

 吉永ふんする白石咲和子は、長年大学病院で救命救急医として勤務してきたが、ある事情で石川県にある実家へ戻り、在宅医療を行う「まほろば診療所」に勤めることになる。咲和子はこれまでとは異なる“いのち”との向き合い方に戸惑いつつも、診療所のスタッフに支えられて患者や家族たちとの向き合い方を見出していく。

 医師役への初挑戦を考えていたという吉永は、去年の夏前に出会った本作の原作に惚れ込んだそう。実際に在宅医療を行っている「つるかめ診療所」の鶴岡優子先生と鶴岡浩樹先生、東京女子医科大学病院・救命救急センター長の矢口有乃先生に医療指導を受けるなど、並々ならぬ情熱を注いでいるという。

 吉永は「幼い頃、身体が弱くて何度も入院し、素晴らしい先生に救(たす)けていただきました。今、私はどんなドクター像を作ることができるか、心が弾む毎日、しっかり準備します。医療関係の方々へ感謝の思いを込め、“生と死”をしっかり見つめる作品をみんなで力をあわせて作ります」と意気込みを語っている。

 あわせて共演キャストも発表となった。医大の卒業生で咲和子と同じ大学病院に事務員として勤め、咲和子を追ってまほろば診療所で働くようになる青年・野呂聖二を松坂桃李、診療所を支え続けてきた訪問看護師・星野麻世を広瀬すず、診療所の三代目院長で在宅医療に長年携わってきた医師・仙川徹を西田敏行、そして実家に帰ってきた咲和子を暖かく迎える元美術教師の父親・白石達郎を田中泯が演じる。松坂、広瀬、田中は吉永とは今回が初共演となる。

 監督は吉永が主演した『ふしぎな岬の物語』をはじめ、『八日目の蝉』『ソロモンの偽証』『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』などを手掛けてきた成島出。脚本を、近年の山田洋次監督作品の多くに携わり、これまで吉永主演作の『母べえ』『おとうと』『母と暮せば』で山田監督と共同脚本を務めた平松恵美子が担当する。

 なお、撮影準備中の現在も抗体検査を徹底し、打ち合わせなどの際はフェイスガードの着用や、アクリル板による仕切りによって新型コロナウイルス感染症対策をとっているという。今後は全スタッフおよびキャストがPCR検査を受けたうえで、可能な限り撮影現場でもフェイスガードを着用し、不必要に近づかないといった対策をとって撮影に臨んでいくとしている。(編集部・大内啓輔)

(以下略、続きはソースでご確認下さい)
2020年8月7日 6時00分
https://www.cinematoday.jp/news/N0117832
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