2020年8月2日 12:00

怪奇小説の大家H・P・ラヴクラフトが生み出した架空の神話体系“クトゥルー神話”。その世界観をベースにした作品群の中でも、ラヴクラフト自身が最高傑作と称した短編『宇宙の彼方の色』(※『カラー・アウト・オブ・スペース―遭遇―』の原作には、『宇宙からの色』『異次元の色彩』などの邦題もありますが、本記事では森瀬繚氏訳『宇宙の彼方の色 新訳クトゥルー神話コレクション5』に従い、『宇宙の彼方の色』という呼称で統一しています)を、舞台を原作の19世紀から現代に移して映画化したのが、『カラー・アウト・オブ・スペース―遭遇―』(公開中)だ。
監督を務めるのは、『ダスト・デビル』(92)以来28年ぶりに長編劇映画にカムバックした異才リチャード・スタンリー。制作SpectreVision、主演ニコラス・ケイジの『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(18)チームとタッグを組み、未だかつてない極彩色の恐怖譚を生み出した。
もちろん、我らがニコケイ十八番のブチギレ演技も炸裂。“異様にアルパカに執着する父ニコケイ”という映画オリジナル要素もシュールこの上なく、幸せな一家が心身共に変容していくグロテスクなショック描写と渾然一体となって、作品全体に、名状しがたい狂気が宿っている。
ラヴクラフトの小説の直接の映像化だけではなく、一部引用も含めれば膨大な数があるクトゥルー神話映画。『カラー〜』公開で、映画界界隈でもクトゥルー神話が改めて脚光を浴びる(?)今、その中から、関係が特に興味深いものを厳選して紹介しよう。



『インスマスを覆う影』を参考にした元祖HPL映画

『透明人間』(公開中)と同じユニバーサル・モンスターの半魚人。『インスマスを覆う影』が元ネタとの噂あり。監督はジャック・アーノルド。(BD&DVD:NBCユニバーサル)




HPL小説の初の映像化作品

エドガー・アラン・ポーの『幽霊屋敷』が原作とされているが、HPLの『チャールズ・デクスター・ウォード事件』の映像化とも。監督&製作ロジャー・コーマン。(DVD廃版)





『宇宙の彼方の色』の初映画化作品

基本プロットは『宇宙の彼方の色』だが他のHPL作品の要素も。ボリス・カーロフの怪演が強烈。監督のダニエル・ホラーは、『ダンウィッチの怪』(70)も手掛けた。(DVD:フォワード)




非HPLのクトゥルー神話小説が原作

『グリズリー』のウィリアム・ガードラー監督がグレアム・マスタートンの同名小説を映画化。『〜HDリマスター特別版』BDが発売中。作品はカラー。(BD:スティングレイ)




ダン・オバノンの初期構想ではクトゥルー神話を意識
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://movie.walkerplus.com/news/article/1004917/