6/11(木) 12:14配信 motorsport.com 日本版
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 アメリカ合衆国のミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性が白人警察官によって拘束を受け死亡した事件が切っ掛けとなり、世界中で人種差別への抗議デモが広がっている。

 彼らの運動によって社会問題への意識が高まっており、モータースポーツ界もその例外ではない。

 アメリカ合衆国で行なわれているNASCARシリーズは、死亡した黒人男性殺害事件に対し共に立ち向かっていく姿勢を示し、先週行なわれたレース時には黙祷も捧げられていた。

 そして今回、NASCARは新たに19世紀に勃発したアメリカ合衆国の南北戦争で南軍が使用していた軍旗を(※上部写真の青線がクロスしている方)レーストラックと施設で使用することを禁止した。

 1860年代にアメリカ合衆国は黒人奴隷を巡る対立や産業構造の違いから北部と南部で対立し、内戦が発生した。南部の州がアメリカ合衆国から脱退を宣言し、“アメリカ連合国(=南軍)”を結成して北部との戦闘となった。

 南軍は大規模な綿花プランテーションを中心とした農業が盛んで、その活動には黒人奴隷が不可欠であった。最終的に内戦は北部の勝利で終結。犠牲者数は50万人以上に上った。

 当時使用されていた南軍の旗は、現在も南北戦争で犠牲となった兵士や南部地域白人の誇りとして受容されてもいる。一方で白人至上主義者が同旗を用いていることから、「黒人差別の象徴」として強い批判にも晒されてもいる。

 今回巻き起こっている黒人差別への反対運動を受け、既にアメリカでは海軍が南軍旗の使用を禁止することを決定していたが、NASCARもそうした動きに追随したといえる。

 なおNASCARでは既に公式の場での南軍旗の使用は禁止されていたが、トラックのインフィールドでは未だに広く使用されていた。

 NASCARは10日、次のように声明を発表し、南軍旗の全面禁止を明かした。

「NASCARのイベントでの連合国旗(南軍旗)の存在は、全てのファン、競技者そして業界が楽しめる環境を提供するという我々の責任に反している」

「レースへの愛、そしてそれが生み出すコミュニティが人々を結びつけることこそ、我々のファンとスポーツを特別なものとしている。連合国旗の掲揚は全てのNASCARのイベントと施設で禁止されることになる」

 南軍旗の使用禁止については米国陸軍も追従する動きを見せている。また南軍に由来を持つ米国内基地の名称変更についても高官が柔軟な姿勢を見せていたが、ドナルド・トランプ大統領はこうした考えを否定し、基地名を残すと表明している。