東京都府中市の東京競馬場で5月31日、3歳サラブレッドの日本一を決める日本ダービー(東京優駿)が無観客で開催された。

 昭和7(1932)年に始まった伝統あるレースで無観客は戦後初。新型コロナの感染拡大でプロ野球、サッカーJリーグなどプロスポーツが相次いで開催を見合わせる中、日本中央競馬会(JRA)ではインターネットの会員を増やし、売り上げは“快走”した。

 例年、徹夜組を含め、10万人を超える大観衆が押し寄せる競馬の祭典。平成2年には最多の19万6517人が詰め掛けた。今年は一転、スタンドは無観客で静まり返る異様な光景の中で開催された。

 新型コロナ感染対策のため、取材陣の人数なども制限。コントレイルを無敗の2冠に導いた福永はレース後、観客がいないスタンドに向かって、一礼。優勝インタビューでは「スタンドにはお客さんがいなかったけど、たくさんの人が(テレビ)画面越しにいると思って騎乗した」と無観客への思いを語った。

 無観客ではあっても、ダービー1レースで233億5390万2100円を売り上げた。インターネットと電話による投票で前年比で92・3%に踏みとどまった。さほどの落ち込みはなかった。

 JRAによると、無観客での開催に踏み切った2月29日以降、インターネット投票の新規会員が急増。5月24日時点の会員数は470万5089人で、昨年末の445万4537人から25万552人も増えた。

 その効果もあり、春の大レースでも、売り上げは上々。今年の皐月賞は153億7181万4700円(前年比84・2%)、天皇賞・春は168億7096万6000円(同88・0%)、オークスは161億1215万6000円(同92・2%)と落ち込みは少ない。

 GIに関しては、3月の高松宮記念と5月のヴィクトリアマイルのように、昨年よりも売り上げがアップしたレースもあった。

 もっとも、無観客で、場内のレストランや売店は休業に追い込まれた。JRA側では「数字は把握しきれていない」としているが、全体の収入にとっては打撃だ。緊急事態宣言は全面解除されたものの、JRAでは6月28日の宝塚記念(阪神競馬場)までは無観客を続ける方針だ。新型コロナ禍が収束し、競馬場に大歓声が戻る日はいつか−。(江目智則、佐竹修仁)

2020年5月31日 19時37分 産経新聞
https://news.livedoor.com/article/detail/18344452/
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