女子プロレス「スターダム」の木村花さん(享年22)が23日に急死したことを受け、格闘王・前田日明氏(61)が怒りの声を上げた。花さんがSNSで攻撃を受けるきっかけとなった恋愛リアリティー番組「テラスハウス」(フジテレビ系とネットフリックスで放送、配信)は27日に番組の打ち切りが発表されたが、前田氏は同番組の道義的責任を追及。また匿名の誹謗中傷に対し、早急な対策が必要と訴えた。

 SNS上での誹謗中傷に悩んでいた花さんの急死には、多くの芸能人や他競技のアスリートが声を上げ、波紋が広がり続けている。国会内でも匿名での誹謗中傷を規制する法改正を視野に入れた動きが出るなか、フジテレビは花さんがバッシングを受ける発端となった「テラスハウス」の制作と放送の中止を決めた。

 前田氏も未来ある女子プロレスラーの死に心を痛めている一人だ。「お母さん(元女子レスラーの木村響子さん)の気持ちを考えると、やりきれないよ、本当」と沈痛な思いを口にする。特に「テラスハウス」については「フジテレビでスポンサーを募って番組をつくってるんだったら、責任を持たないとダメですよ。出演者の人格や名誉というものを守ってあげないと。プライベートを使った番組をやるなら、プライベートを守ってあげないといけない。当たり前じゃん。放置したフジテレビに道義的責任があると思う」と厳しく断罪した。

 テラハのようなリアリティー番組は海外でも人気を博す一方で、今回のようなトラブルがあった場合、裁判に費用と時間がかかる日本には不向きなジャンルと指摘する。さらには「全ては(匿名掲示板)『2ちゃんねる』から始まってる。知識人と言われるやつらが『ネット空間は自由の場だ』みたいなこと言って、社会性を無視した場所がつくられた。言論の自由より、基本的人権のほうがはるかに上だよ」と問題提起した。

 前田氏も過去、自身に対する人格否定や差別的な書き込みを何度も目にし、近年はSNSでいたずらのようなメッセージが頻繁に届くという。

「きりがないんだよ。そういうのが起きるのは必然的。ツイッターとかもルールとか設けたほうがいいよ。登録する時に、本名とか個人情報を登録させて。ブロックされたら、何回も名前を変えて入れるっていうのはできないようにしたほうがいい。良識があればよかったけど、匿名のツールは限界がきたのかもしれない」と転換期が訪れていると分析した。

「韓国を見てみ。毎年、芸能人とか女優とか自殺してさ。そんな世界、おかしいよ。自分の家族にそんなこと起こって、誰が我慢できる? 日本を韓国みたいな、ぶざまなネット社会にしていいのかって話。今回の一件を無駄にしちゃダメ」。悲劇で終わらせるのではなく、教訓にするべきと切実に訴えた格闘王の声は届くのか――。

5/28(木) 17:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/7019b86475c989a07717310cce37240cee5c9577