東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。
今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。

お客さん:お、このイントロは、LOOKの『シャイニン・オン 君が哀しい』。デビュー曲がバラードのロックバンドってなかなかいなかったよね。そして、ボーカル・鈴木トオルのハスキーボイスがたまらなかった。

マスター:ハスキーだけど、高音の伸びがあるという、独特の歌声だよね。この歌声、3歳のときには、すでにできあってたって知ってる?

お客さん:3歳からハスキーボイスだったの?

マスター:そう、実は彼の実家は自営業で忙しかったため、誰もかまってくれなかったという。ワーワー泣いているうちに声がつぶれてしまい、幼稚園に入った頃には森進一みたいになっていたとか。

お客さん:そんなに年季が入ったハスキーボイスだったのか。

マスター:この声がコンプレックスだったから、ボーカルはやってなかったんだって。『シャイニン・オン 君が哀しい』も、もともとは作詞・作曲の千沢仁が歌う予定だったんだけど、冒頭の「シャイニノーン!!!」が出なかった。

お客さん:ほうほう。

マスター:練習中になんとなく鈴木トオルが歌ってみたところ、そのキーが出たんだ。じゃ、そのままボーカルね、って決まったそうだよ。

お客さん:へー、知らなかった。

マスター:ところでLOOKには隠れたエピソードがまだあるんだけど、なぜバンド名が「LOOK」なのか知ってる? ヒントは4人組。

お客さん:LOOK……4人組?

マスター:チョコレートだよ。

お客さん:チョコって、あの不二家の「LOOK」? 4つの味が楽しめる、あの「LOOK」?

マスター:そう、あの「LOOK」。4人の血液型が全員違っていたことや、経歴、音楽的志向がバラバラだったことから、そう名づけたそうだよ。

お客さん:いいかげんなのか、熟考したのか、よくわからないけど、売れたら違和感ないね。

 おっ、次の曲は……。

5/16(土) 16:30配信
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