国家公務員法改正案の審議が8日、衆院内閣委員会で始まった。同案には、検察官の定年を延長する検察庁法の改正部分も含んでおり、野党議員や著名人らが9〜10日にかけ、「安倍政治の横暴だ」「三権分立が壊される」などと抗議意思を示すツイートを相次いで発信した。ただ、元内閣参事官で嘉悦大学教授の高橋洋一氏は「反対派は、法案をよく理解していないのでは。検察官が『年金難民』になりかねない」と指摘している。

 政府は今年1月、政権に近いとされる黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延長を閣議決定し、検事総長になる道を残した。

 8日の法案審議は、定年延長問題と改正案の関連性をただそうと、森雅子法相の出席を求めた野党会派と共産党が欠席したまま始まった。

 政府・与党の姿勢に反発してか、ネット上では「#(ハッシュタグ)検察庁法改正案に抗議します」という投稿が相次いだ。

 立憲民主党の枝野幸男代表が「火事場泥棒そのものだ」と安倍晋三政権を批判しただけでなく、ジャーナリスト、作家、有名俳優、人気若手歌手、漫画家などが発信した。10日、ツイッターのトレンドワードで国内上位に入り、一時約380万以上を記録した。

 女優の小泉今日子は「もう一度言っておきます!」などのコメント付きで連続投稿した。歌手のきゃりーぱみゅぱみゅも、政界と検察幹部の人物相関図を引用して投稿した。

 ただ、今回の国家公務員法改正案は、年金支給年齢の引上げに応じた改正であり、検察官に限らず公務員全体の定年を延長させる法案である。黒川氏の定年延長とは直接関係ない。一部メディアや政党の説明不足・誘導を感じる。

 前出の高橋氏は「反対する人たちは法案を読んだ方がいい。人事院の意見具申を受けて、2008年から進めてきた国家公務員法の一部改正の最終段階にすぎない。民主党政権(09〜12年)も経ており、党派にも黒川氏の人事にも関係がない。『検察庁法改正案に反対』という人は、検察官OBが年金難民になってもいいのか。著名人らも、法案の詳細を知らずに発信していると考えられる」と語っている。
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