検察庁法改正に抗議、ツイッターで200万超 著名人も
2020年5月10日 11時35分

検察官の定年を65歳に引き上げる法改正案を認めていいのか――。
作家や漫画家、俳優、音楽家らが10日未明、疑義を唱える声をツイッター上で次々と上げた。
「#(ハッシュタグ)検察庁法改正案に抗議します」の投稿が相次ぎ、
その数は午前8時過ぎには約150万件、同10時過ぎには200万件を超えた。

「もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。
この国を壊さないで下さい」。俳優の井浦新さんが10日朝に投稿すると、「いいね」が1万件以上ついた。

法改正案への抗議として、ハッシュタグ(#検察庁法改正案に抗議します)で賛意を示したのは、
俳優の浅野忠信さん、秋元才加さん、芸人の大久保佳代子さん、漫画家のしりあがり寿さん、
羽海野チカさんら。小泉今日子さん本人によるものとみられる投稿もあった。

9日午後に10万件程度だった投稿数は、10日午前3時ごろに100万件を突破。「三権のバランスをくずすこと、
国を『国民』ではなく『自ら』の都合のよい形にするのはやめてほしいです」という声があがり、
著名人に対しては「勇気あるツイートに感謝します」「とっても頼もしい」という賛意も寄せられた。

9日深夜から投稿数が急増したことについて、ネットメディア・言論に詳しいジャーナリスト津田大介さんは
、「深夜にこれほど伸びるのは見たことがない」と驚きを隠さない。

「新型コロナウイルスへの政府の対応は緩慢な一方、『不要不急』にみえる定年延長の法改正は迅速に進む。
一般に馴染みがなく、わかりにくい問題だったが、政府に注目が集まる今だからこそ気づかれることになった」と読み解く。

自粛要請が続くなかでさまざまな情報を調べている人々が、著名人のツイートをきっかけに関心を持ち、大きなうねりになった可能性もあるという。

内閣の判断で検察幹部の「役職定年」を延長できるようにする検察庁法改正案の委員会審議は今月8日、
与党が強行する形で始まった。黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延長問題を追及する野党側は、
森雅子法相の出席が必須などと求めているが、与党は応じず、与党は週明けの委員会採決をめざすとみられる。

安倍内閣は、1月末に政権に近いとされる黒川氏の定年延長を閣議決定。
検察トップの検事総長に就ける道を開くことになったため、「検察の私物化」との批判の声が上がっていた。

https://www.asahi.com/articles/ASN5B34BYN5BUTIL005.html