新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の延長を受け、日本相撲協会は24日初日の夏場所(両国国技館)の中止を決定。7月19日からの名古屋場所もドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)での開催を断念し、両国国技館で無観客の実施を目指すことを4日に発表した。

 夕刊フジでは名古屋の初日が2週間延期となった4月7日の段階で、両国で開催される可能性ありと報じている。日程を延期した場合、名古屋の会場はすでに予約で埋まっている一方で、東京五輪のボクシング会場だった両国は五輪の1年延期のおかげで使用できたため、相撲協会にほかの選択肢はなかった。

 ただ、現在の感染状況からみれば、東京よりも名古屋の方が開催しやすいといえる。愛知県の感染者数は4月29日以降、毎日1−3人と終息傾向。力士がすし詰めとなる支度部屋も、5メートル×28メートルの広さで地下にある両国に対し、名古屋は22メートル×32メートルの第二競技場を真ん中で区切り、東西に分けて使用している。本場所を開催する4会場で一番広く、3密はかなり緩和できる構造だ。

 年に1度の開催がなくなってしまった名古屋。だが現地から聞こえてくる声に、ショックの色は驚くほど少ない。

 ある名古屋場所の相撲案内所は、「接待などで使う企業も多いので、こんな状況ではそういったお客さんも見込めない。やらないなら、早く決めてくれた方がよかった」と冷静な反応。「東京でやるのは現実的ではないと思っていたけど、名古屋でやらないのにお客さんを入れたらおかしいから、無観客にするのでしょう」と続けた。

 別の相撲案内所は「開催すれば、力士や親方など1000人近くが名古屋に来ることになるので、いろいろ気をつかうところだった。今は世間の雰囲気もあって、感染者でも出れば、こちらも袋叩きにあってしまうので」とむしろホッとしていた。世間を敵に回すくらいなら、東京でやってくれた方がマシということのようだ。(塚沢健太郎)

5/7(木) 16:56配信 夕刊フジ
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