英ロンドン・ウエストエンドや米ニューヨーク・ブロードウェイの劇場が、来年初めまでに公演を行える可能性は低い――。
「オペラ座の怪人」を手がけたことなどで知られるミュージカル・プロデューサーのサー・キャメロン・マッキントッシュが3日、
そうした認識をBBCラジオで明らかにした。

マッキントッシュ氏は、BBCラジオ2の番組「マイケル・ボール・ショー」に出演。番組ホストの歌手マイケル・ボール氏に対し、
「社会的距離」戦略が敷かれている間は、劇場側が今後の予定を立てるのは不可能だと述べた。

「我々は、観客には安心してもらいたいし、役者にも安心してもらいたい」

多くの国では、新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)への対応措置として、劇場が無期限で閉鎖されている。
イギリスでは、ロンドンの劇場街ウエストエンドでのすべての公演が、最短でも5月31日までは中止となっている。

マッキントッシュ氏は、「キャッツ」や「レ・ミゼラブル」、「オペラ座の怪人」といった有名なミュージカル作品を手がけてきた
著名な劇場オーナー兼演劇プロデューサーだ。

同氏の今回の発言は、ほかの複数の演劇関係者から、演劇業界を崩壊から救うための英政府の緊急救済措置を求める声が上がっていることを受けてのもの。
マッキントッシュ氏は、ウエストエンドとブロードウェイの公演が「戻るのは最後になるだろう」と述べた。

「大西洋に面した両方の劇場街の主要プロデューサーは、社会的距離戦略がなくならない限り、再開への計画すら立てられない」

「我々は戻ってくる。しかし、戻ってくるには時間が必要だ。数週間の内に(都市封鎖の緩和に関する)話が聞こえてこなければ、
来年初めまで戻ってこられないと思う。これはかなり明確なことだと思う」

「そして、社会的距離戦略は終了だと言えるまで時間がかかればかかるほど、劇場の公演再開はずっと先になるだろう」

先月、脚本家のジェイムズ・グレアムは、パンデミックの影響からイギリスの劇場を救うには、
「政府からの積極的な救済措置」が必要だと主張。数カ月で「すべての準備金が枯渇し、資金はゼロになるだろう」と警告した。

「この事態が終息した時に、はたして我々が認識できるような演劇あるいは映画業界が残っているかさえ、私にはわからない」
https://www.bbc.com/japanese/52525618