新型コロナウイルスの感染拡大を受け、首都圏にある劇場やライブハウスで活動する道内出身の演劇家やミュージシャンが苦悩を深めている。
国の緊急事態宣言を受けた自治体による休業要請の対象になり、活動の場を失ったことで、収入が激減しているからだ。
インターネットの動画配信で工夫を凝らす人もいるが、感染の終息は見通せず「このままでは活動を継続できない」と懸念する。

稽古もできない

「夏までの公演は全て中止。年内の損失は数百万円になる」。都内在住の脚本・演出家、三浦香さん(41)=札幌市出身=は声を落とす。脚本と演出を務め、
今月1日から、1カ月間の上演予定だった人気アニメ原作の演劇は中止が決定。自身が携わる年内の公演で中止となるのは5本にのぼる。三浦さんは「出演者に加え、音響や照明などの裏方も集まれず、稽古もできないのでは公演は難しい」と語る。

演劇、音楽など文化産業の現状は厳しい。活動は密閉、密集、密接の「3密」になりやすく、大阪や札幌のライブ会場ではクラスター(感染者集団)が発生。
政府の専門家会議や都は劇場やライブハウスに休業を要請している。演劇家やミュージシャンは個人事業主が多く、国は最大100万円の「持続化給付金」を支給するものの、先の見えない生活の中では万全とは言えない。

武蔵野市で劇団を主宰する平井隆也さん(24)=千歳市出身=も公演中止の影響で4月の収入はゼロに。「活動の場が失われかねない。行政はしっかり補償してほしい」と訴える。

八王子市の斎藤利志昭さん(64)=札幌市出身=が経営する港区のライブハウスは4月から休業中だ。「支援が必要なのに文化や芸術はいつも後回し。
それでも再び音楽を提供し、貴重な灯を守りたい」と話す。

演奏動画配信に活路も

オンラインでの活動に活路を見いだす人もいる。川崎市のミュージシャン青野時空(じくう)さん(30)=札幌市出身=は4月から「テレワーク演奏」と銘打ち、バンドの演奏を定期的に動画配信している。
メンバーが集まれば感染の危機もあるため、自宅で楽曲を編集しており「収入は少ないが積極的に続けたい」と決意する。

https://news.yahoo.co.jp/articles/dbb4a487231ebb031ca7e833b7f03f14021f8ab6
5/4(月) 11:31配信