新型コロナウイルス感染拡大の影響で、エンタテインメント界、音楽界も多大な影響を受けている。ライブやイベントなどの興行ができない今、無観客ライブ配信やSNSを活用する場合も多いが、“無料”であるがゆえに根本的な解決にはならない。そこで注目されているのが“有料”のライブ配信だ。批判覚悟で行った有料ライブ配信の内情、そして“コロナ後”への可能性を探った。

【写真】不安もあった…ceroが成功させたライブ配信の様子

■資金力がないと「無料」は難しい、有料ライブ配信に予想外の反響

ライブやイベントなどの興行ができない、今後もいつできるのか先行きが見えないことは、業界で働く人々にとって死活問題と言っても過言ではない。実際、予定していた公演が中止・延期され、払い戻し金なども発生して「この状態では活動を続けられない」と訴えるアーティストもいた。

 そんななか、日本でも感染拡大の危機が増した3月には、aikoやジャニーズタレントなどの大物アーティストが無観客ライブを行い、無料で配信を敢行。これには、多くのファンから「元気が出た」という声が上がり、感染予防の啓蒙にも繋がった。だが、そこはあくまで“無料”であるがゆえに、アーティスト側の直接の利益にはならず、むしろ機材費、会場費などの持ち出しが発生。体力のないアーティスト、主催者には不可能であるし、継続的に行うことも難しく、直接的な問題解決とはならない。

 このような無料ライブ配信が行われるなか、あえて“有料ライブ配信”に踏み切ったのが、cero(セロ)というバンドだ。3月13日に予定されていた仙台公演が中止となり、有料ライブ配信に踏み切ったという。彼らが所属するレーベル・カクバリズムの仲原達彦さんは、「他のアーティストが無料配信を行っている中、有料にして本当にチケットを買ってもらえるのか、不安もあった」と当時のためらいを語る。だが、ふたを開けてみれば、告知はSNSや公式サイトのみだったにも関わらず、1枚千円のチケットは予想を上回り5千枚以上が購入され、有料ライブ配信は大成功を収めた。「資金力があれば無観客ライブの無料配信もできますが、インディーズバンドでは難しい。今回有料配信をやってみて、お客さんの『アーティストに還元したい』という気持ちもわかり、とてもありがたかったです」と仲原さん。この成功後には、同業者からたくさんの問い合わせがあったそうだ。

4/29(水) 8:40配信
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