4月4日に放送された『天才!志村どうぶつ園 特別編』(日本テレビ系)が視聴率27.3%を獲得するなど、
志村さんの追悼番組は軒並み高視聴率だった。これも志村さんが世代を超えた多くの人に愛された証である。

だがこの現象を「テレビの終わりの始まり」と見る向きも少なくない。映画監督の園子温さんもその1人だ。

「テレビが生んだいわゆる昭和のスターは志村さんで終わりでしょう。昭和の頃は家族の団らんの象徴がテレビだったかもしれないけれど、
いまの小学生や中学生はテレビタレントよりもユーチューバーが好きですし、スマホさえあれば見たいものが見られる。
地上波テレビがなくなることはないと思うけれど地方のシャッター街のようなもので、廃れるばかりだと思います」(園さん)

奇しくも志村さんが旅立つのと時を同じくして、それを裏付けるようなデータが発表された。
電通が発表した2019年の広告収入の内訳で、インターネット広告費(2兆1048億円)がテレビメディア広告費(1兆8612億円)を上回ったのだ。

長らく「娯楽の王様」とされたテレビがその座から引きずり下ろされた現実は、テレビ関係者にも衝撃を与えた。

「とうとう来たか…という感じです。広告費の逆転は数年前から囁かれてはいましたが、
スポンサー企業がテレビよりネットの方が広告を出す価値があると考えた結果が数字として表れてしまったわけで、非常に危機感があります。
テレビの大きな収入源である広告収入が減れば、業界は先細りするしかありません」(民放キー局プロデューサー)

なぜ、テレビは王座を譲り渡すことになったのか。

「背景にあるのはコンテンツ力の低下です」 こう指摘するのは元日本テレビエグゼクティブプロデューサーの吉川圭三さん。
日テレ時代、吉川さんは敏腕プロデューサーとして『世界まる見え!テレビ特捜部』 『恋のから騒ぎ』
『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』など名だたる看板番組を手がけてきた。

「いまはどこの局にチャンネルを合わせても同じような番組が流れているイメージがある。
バラエティーならひな壇があって、出演者がしゃべった言葉がスーパーで出て、VTR中はワイプで抜かれる。ドラマも恋愛や警察、ドクターものばかりで幅がない。
要はテレビを見てテレビを作るような、番組のマネをする番組ばかりになってしまった。これでは面白いコンテンツは生まれません」(吉川さん)


メディア文化評論家の碓井広義さんが指摘する。

「それまで独自性を求めてテレビを見ていた人たちが『どのチャンネルも同じでつまんないな』と気づいたときと、
テレビ広告が減少してネット広告が増えていった時期はちょうどリンクしていると考えられます」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200420-00000001-pseven-ent&;p=2
https://www.news-postseven.com/uploads/2020/04/20/seven2016_koukoku.jpg