東京都内で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者数が、4月4日に117人、5日に143人と3桁に達してから、
雲行きはにわかに険しさを増してきた。実はそれまでは、

「総理官邸では中枢に近づくほど、緊急事態宣言の発令には慎重でした」
 そう語る政治部記者に、この間のいきさつを説明してもらうと、

「総理周辺は、なんとか持ちこたえていると判断。都内の新たな感染者が1日に3桁に達しても出さない。
出したら経済が一発で止まってしまうと言っていた。ところが、コロナ対策の司令塔の今井尚哉首相補佐官が、小池百合子都知事に籠絡されたのです」

・さる医師
「我々は楽観的な見通しが立つと考えても、テレビではとてもじゃないが話せません。
外れたとき、ネット等でどんな非難を浴びるかわからないからです。
その結果、テレビからは悲観論ばかりが発信され、緊急事態宣言を出さなければ世の末が訪れるかのごとき世論が形成されたのです」

・医師で大阪大学人間科学研究科未来共創センター招聘教授の石蔵文信氏は、

「経済的損失は、人命と無関係ではありません。男性の場合、失業率が1%上昇すると、10万人当たり約25人、自殺者が増加するというデータがあります」
と警鐘を鳴らすのだ。次のような影響も無視できまい。音楽や舞台、スポーツなどのライブ・エンタテインメント業界の惨状を、文化部記者が説く。

「3月23日までに中止、延期になった公演、試合数は8万1千件で、損失は1750億円。
緊急事態宣言の期間中に損失額は倍以上に膨らみ、今後、公演団体などがバタバタと潰れていくと見られています」

充実した文化事業から得る精神的活力は、日本人が長寿である秘訣の一つだと言われてきた。
ところが緊急事態宣言は、すでに青息吐息の文化事業に、とどめを刺そうとしている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/91e8923f75356c9a1d35c767d38c99f64a0b558d
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