4/10(金) 10:13 配信
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「ボロボロの団地でオリジナルを学んできたぜ」。静岡県の団地出身のラッパーが注目を集めている。日系ブラジル人、日系ペルー人、そして日本人の混成グループ「GREEN KIDS」だ。日本社会で子どものころからのけ者にされてきた彼らのリリックが、若者の共感を呼ぶ。(取材・文:ジャーナリスト・安田浩一/撮影:菊地健志/Yahoo!ニュース 特集編集部)
深夜を駆け抜ける多国籍ラッパー

深夜2時を過ぎた。フロアの照明が落ちる。

リーダーの日系ペルー人、ACHA(23)がステージに躍り出た。他のメンバーがそれに続く。
仁王のように堂々とした体格の日系ブラジル人、DJ PIG(25)がターンテーブルに指を落とした。大音響が響く。総立ちの観客が歓声で応える。人波が揺れる。膨らみすぎた風船が破裂したように、熱気が、興奮が、弾けた。


今年1月3日、浜松市(静岡県)のクラブでおこなわれたニューイヤーライブ。
客の一番のお目当ては、ACHAとDJ PIGが属する6人組ラップグループ「GREEN KIDS」。日系ブラジル人4人、日系ペルー人と日本人が1人ずつの多国籍チームだ。2015年の初ライブ以来、地元静岡県での人気は急上昇。いまや全国各地のクラブからも声がかかるほどに、ヒップホップ界の注目を集めている。
声をフロアに叩きつけるような迫力のパフォーマンス、個性を生かしたマイクリレー、そしていかついギャングスタイル。“移民としての生き様”をそのままに物語ったリリック(歌詞)のセンスは、他の日本人ラッパーにないものだ。
この日のライブでも、1曲目の「Escape」から彼らの世界観が炸裂する。

妬み、嫉妬、数えきれんほど喰らった
ガイジンだから差別も味わった
路上の空き缶蹴飛ばした
オレの手札はブラジルとニンジャ

上半身を激しく揺らしながら言葉を刻んでいく6人。私は開演直前に楽屋で聞いた日系ブラジル人のメンバー、Flight-A(21)の言葉を思い出していた。

「ラップうまいヤツらって、たくさんいますよね。でも、うまいなあって思うだけで何も残らん。オレら、経験してきたことだけを歌にしている。そこがヤツらとは違う」
ここでいう「ヤツら」は、悪ぶった言葉遊びだけを「流行り」ともてはやす者たちのこと。そこにリアルな言葉の銃弾を撃ち込むのが、GREEN KIDSだ。

ステージとフロアが一体となって興奮の渦をつくり出す
「勢いがある。主張がある。あるべきラッパーの姿」と彼らを評するのは、ライブの主催者で、イベントオーガナイザーのT-42(34)。

「初めてライブを見たとき、なぜか震えた。日本社会に生きる外国人ならではの叫びが胸に突き刺さった」
この日のライブを締めくくったのは代表曲「E.N.T」。熱気と興奮で酸欠を招きそうなフロアで、彼らは「経験」を叫んだ。

始まりはこの団地だ
East New Town
オレ様はここで育った
ガキの頃からの仲間が集まった
ボロボロの団地でオリジナルを学んできたぜ
お腹空いて万引きなんて
そんなの日常

そう、物語は「団地」から始まった。GREEN KIDSが育ったEast New Town、磐田市郊外の東新町団地。彼らのホームタウンだ。

(以下略、続きはソースでご確認下さい)