東京オリンピック・パラリンピックの延期が、安倍晋三首相と国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長との間で合意された。

今夏の大会開催に向けて期待を膨らませていた関係者らからはと落胆する声や、
新型コロナウイルスの感染拡大という非常事態から「この状況では仕方がない」と理解を示す声も聞かれた。

サッカーとバスケットボールの予定会場がある、さいたま市で商店街の活性化に携わる今井良治さん(42)は「新型コロナの影響で地域経済はかなり冷え込み、
地元ではイベント中止や外出自粛で軒並み売り上げが落ちている。五輪の好影響に期待していたが残念。最後の希望が消えた」と嘆く。

東京都千代田区の私立大学に勤める男性職員(55)は五輪の野球とバスケットボールのチケット計8枚が当たり、約30万円で購入していた。
双子の子供と妻との4人で観戦する予定だったが、チケットの扱いはまだ分からない。「こんな状態なので仕方がないが、
チケット当選者は延期後も観戦できるよう配慮してほしい。それが無理なら、払い戻してほしい」と望んだ。

パラリンピックに期待を寄せていた障害者も「やむを得ない」と理解を示す。視覚障害がある横浜市の畝本(あぜもと)彩美さん(30)は、
障害とは何かを考える「障害平等研修」の講師として五輪・パラリンピックのボランティア向けの講習も実施してきた。延期が決まり「共生社会に向けた機運が変わらないか心配だが、
時間ができたので、より多くの人に共生や多様性について考えてもらえる」と前を向いた。

 私立大学3年の片柳健太朗さん(22)=埼玉県川口市=は、4年の夏に五輪ボランティアに参加予定だった。「開催が社会人になってからだと、仕事を休めるか分からない。
ただ、延期を望む選手もいるとニュースで見たので、延期した方が公平かな」と語った。

五輪ファンたちは冷静に受け止めた。2006年トリノ五輪以降の全大会を現地観戦してきた東京都渋谷区の不動産業、滝島一統(かずのり)さん(43)は
「1年後、新型コロナウイルスは収まっているのかな」と案じながら「五輪は平和の祭典。1年後、笑いながら五輪を見ることができれば『世界の復興オリンピック』だ。そうなればいい」と願った。

代表選考も注目してきたといい、「せっかく出場権を勝ち取った選手が、延期後の大会にもし出られなくなったら、胸が痛い。選考をやり直さなくていい時期に開催できればいい」と思いやった。
1992年バルセロナ五輪から夏季7大会を現地観戦してきた東京都杉並区の会社経営、石川恭子さん(50)は「中止になったわけではないし、こういう状況なので、延期の決断をリスペクトしたい」と話した。

東京五輪もレスリングのチケットを購入しているが、「みんなが不安に思っている中より、世界中の人が納得してすっきりと大会を迎えられるほうがいい」と来夏を見据えた。

3/24(火) 21:37配信
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