新型コロナウイルスの感染拡大防止策で、無観客の競輪レースが9日、京都府向日市寺戸町の京都向日町競輪場で行われた。
同競輪場では初めて。観客の喧噪(けんそう)がない、異例の雰囲気の中、地元京都の村上義弘選手らの疾走音が響いた。
無観客で行われた各地の競輪場では、売り上げが前年の同じレース比の3割まで落ち込んでおり、運営への影響が懸念される。
 
 無観客レースは、競輪主催者の自治体による団体や選手会、運営団体が、来場者の安全面などを考慮して2月26日に決定した。
同27日〜3月11日までを対象に、車券販売は電話やインターネットでのみ行っている。

 京都向日町競輪場では、9日から無観客のレースが始まった。通常であれば、選手入場の際や残り1周半を告げる打鐘(ジャン)の音とともに聞こえる歓声はなく、静寂の中で選手が駆けた。
かけ声や息づかい、タイヤがバンクにこすれる音すらも場内に響いていた。

 トップクラスのS級に所属する村上選手はレース後、「さすがに違和感があった」と振り返った。
「地元で走る時は大きな声援をいただく。それが背中を押してくれるだけでなく、重圧を感じながら走ることで成長もさせてくれる」という。

 村上選手は「コロナウイルスという目に見えない敵に、多くの人がしんどい思いをしている時だからこそ、テレビなどで少しでもいいレースを見てもらえるようベストを尽くす。
ファンの皆さんの力になれるよう頑張るしかない」と気持ちを新たにしていた。

 期間中の各地のレース売り上げは落ち込んでおり、玉野競輪場(岡山県玉野市)は前年の同じレース比で35%、奈良競輪場(奈良市)でも同33%にとどまった。
京都向日町競輪場は、売り上げが前年の半分以下になる可能性があるといい、同競輪場は「収益は厳しくなる見通し。今後の動向に注視していきたい」としている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200310-00281401-kyt-l26