すっかりご無沙汰の感がある、元大関の小錦八十吉氏(56)。近ごろは、大相撲関係のコメンテーターとしてたまにワイドショーで見かけるぐらい……だったのだが、実はしっかり根を張って仕事に励んでいた。拠点は、聖地両国である。

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小錦氏は1998年に角界を去って以来、タレントや歌手として活動してきた。現在は、NHKのEテレ「にほんごであそぼ」と週1回のFMラジオ番組、この二つがレギュラー。ともに放送は朝6時台とあって、ご無沙汰感が強い。

ところが、時勢に乗ってクラウドファンディングを使ったプロジェクトに乗り出していた。“小錦流バーベキューソース”を共同開発し、事業展開につなげるというものだ。先月末から3月末まで資金提供を募り、提供者には4月中に商品を届ける予定だそう。

実は、彼は引退後、BBQを極めた。アメリカ南部で毎年開かれる世界大会で参加者200人中2位に輝いたほど。BBQ界のレジェンドなのである。そういえば、タレントがハワイの小錦邸でBBQを振る舞われて目を丸くする番組もたまにやっていたっけ……。

ソースを共同開発する「gourmet labo」の井上晃利代表は、

「昨夏、BBQイベントに行って小錦さんのソースを使った肉を食べました。スーパーで売っているような普通の豚と鶏でしたが、それがこんなにおいしくなるのかと驚き、その場で商品化を持ちかけたんです」

中国2000年? 

クラウドファンディングの目標設定額は50万円。2月半ば時点で集まったのは出資者124人、30万円弱。しかし、その数字にはこだわっていない、と井上代表。

「お金を稼ごうというわけでなく、とにかく、このソースのことを多くの人に知ってもらいたい。その手段にクラウドファンディングを使いました。店舗での販売も視野に入れていきたいですね」

250グラムで780円。この“ビジネス”について、小錦氏本人に聞いた。

「ハワイでは誰でもみんなBBQする。日常的にね。だから僕は昔から日本でもBBQイベントもたくさんやっているし、世界大会で2位にもなった。BBQソースは焼き肉のタレと違って豚や牛、鶏肉、なんにでも合う。焼き肉はつけ皿がいるけど、僕のはソースの袋に肉を漬けて焼くだけでそのまま食べられるから」

と、熟練ぶりがうかがえる饒舌さ。

「今回のソースは、パイナップルを使ったフルーティーなテリヤキソースだけど、日本人に合うんだよね。子どもも食べれるし、ご飯に、最高に合う。ぜひ、みんなに食べてほしい。ソースのおいしさの秘密は、言えるわけないじゃん! 中国2000年の秘密です」

スーパーに並ぶような全国展開も狙っている。

「相撲をやめて21年経つから。ずっと別の仕事しているんだから。いま事業をたくさんやってるよ。会社がある両国を拠点にして、歌手としてのライブや、もちろんBBQのイベントもある。昨年、茂本ヒデキチさんという有名アーティストにお願いして、格好いい相撲のイラストが入ったシャツを売り出しました。最近では企業向けの講演会が多いですね。自分の相撲人生や、ハワイと日本の文化の違い、現代の日本の若者について話をしています」

土俵で見た面影はあるけれど、口ぶりはビジネスマンそのものだった。

「週刊新潮」2020年2月27日号 掲載

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200229-00610716-shincho-ent
2/29(土) 5:59配信

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