アメリカで、新型コロナウイルス感染による初の死者が確認された。

亡くなったのはワシントン州に住む50代の男性で、持病があった。関係当局によると、旅行を通じて感染した証拠はない。
ワシントン州は「非常事態宣言」を発令、感染爆発に備えて、州のリソースを必要な新型コロナ対策に注ぐ予定だ。

アメリカでも日々増えていく感染経路不明の市中感染。
専門家からは、アメリカでも、イタリアのようにあっという間に感染が拡大するという懸念の声が上がっている。

そんな中、専門家たちが、米ニュースサイト「デイリー・ビースト」で、市中感染の防止策について見解を述べているので紹介したい。
ヒーリックス・インターナショナルのチーフ医療オフィサー、エイドリアン・ハイズラー博士はこう話している。

「飛沫感染と接触感染で簡単に感染するため、ウイルスは非常に早く拡散します。
特に、ニューヨークのような場所では、混雑した地下鉄や電車で、非常に急速に感染拡大するでしょう。

隔離策は感染拡大防止の助けにはなりますが、ニューヨークのような都市で市中感染がすでに起きているとしたら、
その時は、都市全体の封鎖を組織的に行うのはほとんど不可能で、ましてや効果もないでしょう。
より効果的な解決法は、注意深く自分の健康観察を行い、症状が現れたら自主隔離しようなどの情報を人々に広めることです」

CDC(米疾病予防管理センター)で勤務経験のあるUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の伝染病学准教授、ジェフリー・クローズナー氏はいう。

「ある場所から、突然、20〜30人の感染例が出るかもしれませんが、過度に心配する必要はありません。
全ての人々に風邪ウイルスの検査をしたら、何十万人もの感染者が見つかります。


コロナは風邪ウイルスであり、風邪は簡単にヒトヒト感染するものです。人々が濃厚接触しそうな冬は、風邪ウイルスに感染する人々の数が急速に増えます。
クルーズ船での隔離は、おそらく、これまでで最も愚かなアイデアだったのです」

世界健康シンクタンク「アクセス・ヘルス・インターナショナル」社長ウィリアム・ハーセルタイン博士も、隔離や都市封鎖に反対している。

「コロナウイルスへの間違った対処法は隔離することです。渡航禁止や都市の封鎖は決して考慮すべきではない。
インフルエンザの時、そんなことをしますか? しません。インフルエンザのようにコロナウイルスに対処するとしたら、都市の封鎖はありえない。渡航制限もありえない」

伝染病の専門家、イーヤル・レスヘム教授は「社会距離戦略」と取るのが最善と訴える。

「隔離や旅行制限よりも、学校閉鎖、テレワーク、集会の中止、公共交通機関の閉鎖などの「社会距離戦略」
(人と人との距離を開け、接触機会を減らす感染症対策)を取るのがベストでしょう。

ある地域社会で、非常に伝染力のある疾病の伝染リスクが高まっている時、隔離はあまり効果的ではなくなります。
なぜなら、患者が接触した全ての人々を辿ることは不可能だからです」
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200301-00165320/