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1/29(水)
学校読書調査で毎年行われる「(調査直近の)5月の1ヵ月間に読んだ雑誌」ランキングの小学校4年〜6年男子部門では、1990年代後半以降、ずっと「コロコロコミック」がトップである。しかし、90年代半ばまでは違っていた。1970年代には「週刊少年マガジン」、「週刊少年チャンピオン」、小学館の学年誌と「ジャンプ」がトップ争いを繰り広げていたが、1980年以降はしばらく「ジャンプ」がトップとなり、1996年調査で初めて小4のトップを「コロコロ」に奪取され、以降、徐々に「コロコロ」が優勢となり、現在に至っている。

中略

♦なぜジャンプ読者は「高齢化」したか

かように「ジャンプ」と「コロコロ」は実は似ているが、まったく同じわけではない。「ジャンプ」の読者はなかなか「卒業」しないため、超長期連載の大河マンガが成立する。対する「コロコロ」は小学生の読者が数年で卒業していくから、たとえ長期連載マンガがあっても、毎回どこからでも読み始められるギャグマンガがほとんどである。

ひとつの作品をアニメ、ゲーム、外伝マンガ、ノベライズ、舞台、実写映画……と様々に展開し、「この作品をずっと好きでいてくれるなら、ずっとお金を払ってください」というのが「ジャンプ」の戦略だ。一方、「コロコロ」は読者が入れ替わっていくことを前提に、短期スパンの流行(世相)に合わせたメディアミックスで売っていく。

「一度ヒットしたら太く、長く」という鳥嶋以降の「ジャンプ」のビジネスモデルを前提にすると、必然的にマンガのキャラクターは増え、物語は複雑化していく。「コロコロ」が「この号から初めて読む子でもわかるように」「一話ごとに面白く」という原則を今も貫いているのとは、対照的な姿になっていった。

こうして、設定が込み入っていて話の筋がややこしい「ジャンプ」の作品は、小学生の心を捉えることが再びできなくなり、読者年齢が上昇した。

「ジャンプ」の9代目編集長(2008年〜2011年)佐々木尚は「『ジャンプ』を読むときには、大人も子どももみんな頭の中は13歳になっているんだと考えています」(満田陽一「『ジャンプ』と女性誌群のブランド力生かす集英社」、「創」2011年2月号、62ページ)と語っている。

ここには初代編集長・長野から6代目編集長・鳥嶋までが狙っていた「下は小学2、3年生から」という「ジャンプ」の姿はもはやない。「ジャンプ」は「下」でも「13歳」の雑誌になった。

「ジャンプ」は「コロコロ」に学びつつ、自身の強みを最大化させていった。その結果、小学生は「コロコロ」、中学生以上は「ジャンプ」という「棲み分け」ができあがったのだ。

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