【グアム4日=田中雄己】
今季、13年ぶりのJ1の舞台に臨む横浜CのFW三浦知良(52)が、自主トレ先のグアムで本格的なトレーニングをスタートした。
早朝5時40分の体幹トレから始まり、スパイクを履いてボールを扱うなど、早朝・午前・午後の3部練習を敢行。
例年より早いJ開幕に備え、直近5年間で最速の“始動”となったプロ35年目のキングの一日を、田中雄己記者が「見た」。

キングの朝は、早すぎた。午前5時20分に起床し、自室で体幹トレを済ませたカズが現れた。午前6時前。
辺り一面真っ暗で1メートル先すら見えない暗闇の中、同行するJ2松本のDF田中隼磨(37)やスタッフらと黙々と始めたランニングでは、気配と足音だけが響いた。
「少し抑え気味に」と言いながら、途中激しいスコールに見舞われてもペースは乱れず。設定タイムで4・15キロを走り終えた。

長年、自主トレに帯同するスタッフの一人は「明日同じ時間に来ても、カズさんは同じことをしている。1分も違わずに繰り返している」。
昇り始めた日差しは、後光のようにすら感じた。

Jクラブ在籍選手にとって今はオフの真っただ中。多くの選手が体を休めるが、カズは違う。
シーズン中にはできない体づくりをすることに重点を置き、今季は「2月にはギアを上げていくよ」。
例年より早い開幕(ルヴァン杯・2月16日、J1・同21日)をにらみ、17年目を迎えた恒例のグアムトレの始動を早めた。

プロ35年目。日本サッカー界のパイオニアとして積み重ねたキャリア、経験、スター性。
カズを構成する要素は数えきれないが、尊敬してやまないMF松井大輔(38)=横浜C=や中村憲剛(39)=川崎=らは「何より気力」と口をそろえる。

この日もそうだった。約11時間をまたぐ3部練習はもちろんだが、屋外のメニューでは今季初めてスパイクを履き、満面の笑みでボールを蹴った。
午後のジムワークではトレーニング器具のわずかな間をドリブルで移動した。
片時もボールから離れたくない。52歳のレジェンドが、初めてサッカーボールを手にした少年のように見えた。
この変わらぬ情熱が、気力の源。「3部練習? 全く長いとは感じないね。同じことを繰り返していく。
これが僕のルーチンだから」。35年目もキング健在。“らしさ”詰まった本格始動となった。(田中 雄己)

◆カズとグアム

▽サッカー 14年1月。広島の佐藤寿人(現・千葉)に自身のJ1得点記録に並んだ際にカズダンスを“許可”。佐藤は「Jリーグ開幕(93年)は小学6年生で、当時カズさんのマネをしていた」と大喜び。

▽野球 15年1月。ソフトバンクの松中信彦と遭遇。「試行錯誤して乗り越えれば自分の居場所が見つかる」と助言を送り、感謝される。

▽陸上 16年12月〜17年1月。リオ五輪陸上男子400メートルリレー銀メダルの山県亮太と出会い参考にできるレベルではないけど刺激を受けた」。

▽水泳 19年12月。アーティスティックスイミングの日本代表と対面。「夜遅くまで監督の声が聞こえた。自分たちは100分の1ぐらい(の練習量)で、過酷なんて言葉に出してはいけない」と気合。

▽番外編 10年1月。成田空港から出国する際に、間違えて、りさ子夫人のパスポートを持参。「中身を確認しないで来たから、取り違えちゃったよ」と一度帰宅し、12時間後に機上の人に。

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1/5(日) 6:00配信