「これでも満員にならないんですから……」

 代表関係者が苦笑いを浮かべてこう言った。

 12日に行われたプレミア12の米国戦(東京ドーム)。侍ジャパンが若手中心の米国に惜敗した以上にショッキングだったのは、スタンドに空席が目立ち、観客が2万7827人にとどまったことだった。

「11日の豪州戦(ZOZOマリン)も残念な結果に終わった。試合会場が都内ではなく、悪天候も重なったとはいえ、観客は1万7819人。
これは、今季のロッテの1試合平均の観客動員2万3463人を5000人以上も下回る。東京開催で、注目度が高い米国戦でこの不入りは正直、頭が痛い」(前出の関係者)

 巨額な放送権料を負担するテレビ局はどうか。「今回のプレミア12の視聴率は良くもなければ悪くもない状況」(放送関係者)だという。
1次ラウンドの開幕戦・ベネズエラ戦(テレビ朝日系)は、最後まで息をのむ試合展開だったが、11・1%(関東地区・ビデオリサーチ調べ=以下同)。
その後も、11%台で推移し、スーパーラウンドの豪州戦は12・0%だった。

 さるマスコミ関係者がこう話す。

「テレビ離れが著しい昨今、視聴率は10%を超えれば合格点といっていい。
ただ、前回2015年大会は、15%以上をキープ(3位決定戦を除く)し、準決勝の韓国戦は25・2%の高い数字を叩き出した。
今回のメンバーは大谷(エンゼルス)、前田(ドジャース)らがプレーした前回よりも、人気、知名度で劣る。
対戦国もバリバリのメジャーリーガーはいないし、1次ラウンドは全敗で敗退したプエルトリコのように、米マイナーにも引っかからないようなメンバーばかり。
カナダとの強化試合2試合の視聴率も、ともに7%台にとどまった。盛り上げたくても盛り上げようがない、というのが実情です」

■「野球も厳しいな…」

 大会前の宮崎合宿(サンマリンスタジアム)もお寒い状況だった。
10月25日に行われた日本ハムとの練習試合は平日にもかかわらず約5000人のファンが集まったが、天候が悪い練習日は、数えるほど。
昨年、同じ宮崎で、吉田輝星(金足農)らが参加したU18合宿の壮行試合(県高校選抜戦)は平日で1万6000人を集めた。トップチームが集客に苦戦する現実は、いかにも寂しい。

 国民的スポーツといわれる野球の日本代表ともなれば、練習でも周囲に人があふれかえるのが常だった。
イチローが参加した09年WBCの宮崎合宿では、計6日間で延べ24万人のファンが訪れ、市内から球場への道路は数千台の車で埋め尽くされ、大渋滞を巻き起こした。
その当時、選手として日の丸のユニホームに袖を通していた稲葉監督も、隔世の感を禁じ得なかったのか、練習日のファンの少なさに思わず、「このままだと野球も厳しいな……」とつぶやいたという。

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