マラソン2時間切り、最新靴のおかげ? 国際陸連も調査
2019年11月7日11時00分
https://www.asahi.com/articles/ASMBT63HPMBTUTQP01G.html?iref=comtop_8_01

 オーストリアで行われたイベントで、男子マラソンの世界記録(2時間1分39秒)を持つエリウド・キプチョゲ(35)=ケニア=が非公認ながら2時間切りを達成した。しかし、ペースメーカーなど特殊な補助を受けていたため評価が分かれている。今後の注目となる公認レースでの偉業達成に向けて、議論は白熱しそうだ。

 イベントは10月12日、ウィーン市内であり、風よけになる木立が並ぶ約10キロの直線コースを往復した。先導する電気自動車が2時間を切るペースを維持。ペースメーカーが交代でキプチョゲの前後を走り、空気抵抗を減らしたり、補給のドリンクを渡したりして快走を補助した。気温、湿度など理想的な気象条件で行うためスタート時間などを直前まで見極めた。記録は1時間59分40秒。特殊な条件で走ったため、公認はされない。
 キプチョゲは2017年にもイタリアの自動車レース場で挑戦し、2時間0分25秒だった。今回はその時より45秒、18年のベルリンマラソンで出した公認世界記録より1分59秒速かった。
 イベントでの補助はどれだけの効果があったのか。
 ワシントン・ポスト紙は「コースやサポート、天候や用具が準備されていたが、42キロを走るきつさは同じ」という専門家のコメントを引用した。英タイム紙に紹介された英ブライトン大学のヤニス・ピツィラディス教授の評価は「フェイク・サブ2(偽物の2時間切り)」。ピツィラディス教授はイベントの原型となるプロジェクトを立ち上げ、今回の記録達成にも貢献した特殊なスポーツドリンクを開発している。
 ピツィラディス教授は朝日新聞の取材に対し、「ペースメーカーは目立ったが効果はあまりなかった。最大の要素は最新のシューズ」と指摘する。
■カーボンファイバ…

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