京都アニメーションの追悼式典の祭壇 

 36人が犠牲となった京都アニメーションの放火殺人事件。追悼式典が11月2日、京都市左京区の市勧業館「みやこめっせ」であった。

 同社の八田英明社長は、集まった業界や行政関係者らを前に、7月18日の事件発生からの思いを語った。

「日常が一瞬でなくなったあの日から100日あまりが過ぎましたが、全国からこの地に集まった一人ひとりを思うと、社内は悲しい思いで涙をこらえることが出来ない日々が続いています。しかし、この間、世界中の人から義援金、温かいメッセージ、献花をいただき励ましていただきました。私たちが仲間と共に作ってきた作品が、こんなにも世界に届いていることを知りました。本当に感謝しています」

 義援金はこれまでに32億円超が集まった。遺族や負傷者らに今後配分される。同社は176人いた社員の4割近くが事件で死傷した。社員は10月1日現在で137人いるが、治療中やストレスなどで、復帰出来ていない人も複数いるという。経営再建への道のりは険しいが、八田社長はこう誓った。

「事件の災禍は計り知れないほど大きく、失われた可能性を思うと言葉もありません。そんな困難にかかわらず、社員は一丸となって力を尽くしてくれました。京都アニメーションは世界の中の日本の京都の会社として、これからも世界中の人たちに夢と希望と感動を育むアニメーションを届けたい」

 同社の作品は作画が丁寧で、地元京都を舞台にしたものもあり、人気を集めていた。「涼宮ハルヒの憂鬱」など海外で評価が高い作品も多く、ネットなどを通じて世界中から事件を悼む声が寄せられていた。

 八田社長は10月の会見で、公開を延期している新作映画「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の制作に専念していることを明らかにしている。ほかの作品は未定だが、残った社員とともに作り続けたい考えだ。

 会場では、これまで献花台に寄せられたファンからのメッセージやイラストなども展示された。被害者の冥福を祈るとともに、「すてきな作品をありがとう。これからも応援しています」といった言葉が並んだ。英語や中国語など、海外からのメッセージもあった。一般のファン向けの追悼行事も11月3、4日に、みやこめっせで開かれる。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191103-00000001-sasahi-soci