今年のプロ野球(NPB)も、福岡ソフトバンクホークス(ソフトバンク)が読売ジャイアンツ(巨人)に1勝も許すことなく圧勝し日本一となった。
日本シリーズ3連覇は球団史上初の出来事だ。

2019年シーズンのセ・パ公式戦入場者数は2653万人を突破し、過去最高を記録した。
1試合平均入場者数も、3万929人と初めて3万人を超えた。

人気が加熱するなか、観たい試合のチケットが取れないことは日常茶飯事だ。
そのチケット販売手法に大きな変化が訪れている。

今年7月16日の京セラドーム。パ・リーグのオリックス・バファローズ(以下オリックス)が、
一般販売している全席を対象に、ダイナミックプライシング(需給に応じた変動料金制)によるチケット販売の実証実験を行った。

その結果、ダイナミックプライシングを使わない場合に比べ、チケット収入が14%増加した。
チケットの平均単価は2%下がったものの、販売数量が17%も伸びたのだ。

かつて、プロ野球のチケットはどの試合でも同一の席は同一の値段というのが当たり前で、
集客力が高いセ・リーグの巨人や阪神タイガース(阪神)が対戦相手の日だけ、若干価格を上げるというのがせいぜいだった。

この慣習に風穴を開けたのが東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天)。
球団創設から5シーズン目にあたる2009年シーズンに、ゲーム開催時期や対戦カード、
ユニホームやグッズの無料配布の有無などによって異なる需給をチケット価格に反映させる、フレックスプライス制を導入した。

繁閑に応じて価格を変えるという手法はホテルやエアラインなどでは古くから導入されているが、
プロ野球のチケットに導入したのは国内ではこれが初だった。

その後、フレックスプライス制はパ・リーグを中心に各球団に普及した。
球団によって設けている価格の段階数は異なり、少ない球団で3段階、多い球団で5段階の価格設定となっている。

現在導入していないのは巨人、阪神、広島東洋カープ(広島)の3球団だけだ(一覧表参照)。

ただ、シーズン開始前に価格を決めてしまうフレックスプライスの場合、予測が100%当たるわけではない。
チームの成績が上向いたり、記録達成がかかった選手が現れるといった、シーズン途中で発生する事象を価格に織り込めないというデメリットがあった。

さらに、価格は1塁側S席、ライトスタンド指定席といったエリア単位で設定している。
グラウンドに最も近い1列目でも10列目でも、出入りに便利な通路側でも通路から遠い内側の席でも、同一エリアでは価格差がなく、きめ細かさに欠ける。

これらの欠点をカバーすべく登場したのが、ダイナミックプライシングなのだ。

ダイナミックプライシングは、発売からゲーム開催当日までの間、試合日程や座席種、対戦カードや購入者の嗜好などに関する過去データの分析結果をもとに、
AIを使って試合ごとの需要予測を行い、需要に応じたチケット価格の変更を1席ごとに自動的に行う販売方法である。

人気席種と不人気席種の販売速度の均等化を図ることで、ゲーム当日時点の完売を目指す。

アメリカ・メジャーリーグでは2009年にサンフランシスコ・ジャイアンツが導入したのを皮切りに、現在では北米4大プロスポーツすべてで用いられている販売手法だ。
日本のプロ野球界で先陣を切ったのは福岡ソフトバンクホークス(ソフトバンク)。

2016年シーズンから実験を開始し、翌2017年シーズンからAIを使った本格的な実証実験を1試合あたり100〜200席程度の限定的な範囲で実施してきた。
2019年シーズンは対象座種を大幅に増やし、対象席数も1試合あたり1500席に拡大した。

もっとも、本拠地ヤフオク!ドーム全体で4万席あるうちの1500席だけでの実施であるため、
シーズンシートや招待席を除く一般席の大半はフレックスプライス制での販売だ。
https://toyokeizai.net/articles/-/309879

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