今やすっかり朝のお茶の間の“定番”となっているNHK朝の連続テレビ小説『おしん』の再放送。月曜から土曜の午前7時15分から7時30分までBSプレミアムにて放送しているが、“表”の朝ドラ『なつぞら』の緩くてご都合主義の展開に飽き飽きした視聴者のオアシスにさえなっているようだ。

 今週の放送では、おしんが羅紗問屋の竜三とついに祝言をあげ、夫婦一緒に生活を始める様子が描かれている。小作人の娘ながら茶道にそろばん、達筆ぶりまで発揮し、さらには店の帳簿から経営状態まで一瞬で見通してしまったおしんに、視聴者からは喝采が上がった。

 ネット上では、
《おしんみたいな奥さんいたら最高だろうな》
《学校を出ていなくてもあらゆることができてしまうおしん。スゴイとしか言いようがない》
《じぃもいいかげん、おしんを認めざるを得ないだろう》
《現代の女性はおしんを見習らった方がいいw》
 など、おしんの万能ぶりを称える声が殺到している。

 幼少期から奉公に出され、実家の貧乏ぶりや苦労ばかりが強く印象に残るおしんだが、ここ最近の展開では、髪結いとして独立し、周囲の人間にも恵まれ、まさに順風満帆と言ってもいい。しかし、実は平和なターンはここまでだ。古くからのドラマファンは「“地獄の佐賀編”に果たして今の視聴者がどれだけついてこられるか…」と警鐘を鳴らす。

 「いよいよ来週から“地獄の佐賀編”が始まります。最近はネットで話題になったこともあり、若年層の視聴者が増えていますが、初見の人は当然、今後繰り広げられる地獄絵図を知らないでしょう。幸せな生活を送っているおしんが、一気に地獄へと突き落とされる展開が待っているのです。竜三の実家がある佐賀の生活はまさに苦労の連続。1983年に放送された際は、『佐賀にだけは嫁に出さない』と、全国でアンチ佐賀キャンペーンの声が上がったのは有名な話です。当時はあまりにおしんがひどい目に遭うので、NHKに抗議の電話が殺到したほどでした」(テレビ誌ライター)

 おしんといえば、山形の寒風吹き荒れる土地で苦労を重ねるイメージが強いが、実は少女期のおしんは人間関係にも恵まれ、奉公先では学校に通わずとも立派な教育を受けさせてもらい、むしろそれなりに恵まれていたと言ってもいい。本当の苦難は、むしろこれからだったのだ。

 幸せな生活が、ある日を境に急転するストーリーは、まさに蓮田壽賀子脚本の真骨頂。初めておしんを見る視聴者は来週からの放送を“覚悟”して見るべし。


2019年07月04日 21時30分
https://wjn.jp/article/detail/7763559/