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NHKが放送と同時にインターネットにテレビ番組を流す「常時同時配信」を認める改正放送法が、先月国会で成立した。民放各局がNHKの「肥大化」や「民業圧迫」の懸念を示す中、今年度中の実施を目指すNHKの狙いを検証する。(文化部 井上晋治)

テレビ離れや人口減→収入減に危機感
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NHKが常時同時配信に乗り出す背景には、若年層のテレビ離れや将来を見通した上での人口減少に伴う受信料収入の減少に対する危機感がある。

 同局は現行の3か年計画(2018〜20年度)の策定段階で、経営委員会に提出した資料で「テレビを見ずにネットのみ利用する人は国民の約5%」という世論調査結果を示した。上田良一・NHK会長は昨秋、受信料の値下げを公表した際、日本の世帯数が2023年をピークに減少するという国立社会保障・人口問題研究所の推計を踏まえ、「経営環境は厳しさを増す」との認識を示した。

 受信契約を結ばず、パソコンやスマートフォンなどだけで配信番組を視聴する世帯に将来、受信料を求める可能性について、上田会長の諮問機関「受信料制度等検討委員会」は17年7月、インフラ整備や国民的な合意形成の環境が整うことを前提に「一定の合理性がある」と答申。

 上田会長も今年1月の取材に対し、「情報が社会的基盤の役割を果たしているという信頼が国民から得られれば、受信料の負担についてご理解いただけると思う」と、前向きな考えを示している。

「2・5%維持」明言避ける

 NHKは番組配信を含むインターネット業務の現行の実施基準で、運営費の上限を受信料収入の2・5%と規定している。今年度予算では2・4%にあたる約169億円を計上。上田会長は「常時同時配信を19年度中に実施できても、2・4%の範囲内でやる」と説明する。

 だが、20年度から常時同時配信が通年の実施となれば事情は異なる。同局は通年の運営費を50億円と見積もるが、これに配信する番組で使う音楽など著作権上の処理費が上積みされる。

 その額がいくらになるのかは権利者側との交渉次第で不明なため、2・5%の維持について、上田会長は「適正な上限を設けて抑制的な管理に努め、透明性を確保して民放や視聴者の理解を得る」と述べるにとどめ、明言を避けている。

6/24(月) 12:10配信 読売新聞
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