日体大柏・酒井監督、まさにしてやったりの采配

今年度からインターハイ(高校総体)の千葉の出場枠は2から1に減った。
そのため昨年度まで代表決定戦だった準決勝は、唯一の代表を決める決勝に進むための関門となった。

まさしく、全国一の激戦区。準決勝の第1試合でそれを実証する大きな番狂わせが起こった。日体大柏が市立船橋を1−0で下したのだ。

試合前から激しい雨に晒された柏の葉スタジアム。
プロ注目のDF畑大雅、FW鈴木唯人など全国屈指のタレントを揃える市船に対し、
日体大柏はずっとベースにしている4−1−4−1システムを採用しながらも、立ち上がりから気迫のこもったディフェンスでゴールに鍵をかけた。

就任4年目の酒井直樹監督はこう語る。

「ずっとベスト4の壁を破れなかった。理想とするサッカーがあるなかで、勝負へのこだわり、勝ち負けが決まった後の涙など、高校サッカー出身じゃない僕は高校サッカーの深さをこの4年で学んだ。
だからこそ、市船を相手にやるべきことをやって、絶対に勝つという気持ちで臨んだ」

酒井監督は柏レイソルの下部組織の前身である日立サッカースクール柏で中、高校時代を過ごし、そのまま柏のトップチームに昇格し、
1994年から2003年まで所属(最後のシーズンはコンサドーレ札幌にレンタル)。
現役引退後に、柏の下部組織コーチを経て、2016年に柏レイソルと提携を結ぶ日体大柏のサッカー部監督に就任した。

就任後はレイソルのポゼッションサッカーを趣向し、質の高いチームを作り上げていたが、何度も県のベスト4で市立船橋、流経大柏の分厚い壁に阻まれ続けていた。
だからだろう。酒井監督は市船戦で、現実的なサッカーを打ち出した。

前述した通り形は4−1−4−1だが、守備時にはアンカーの池上裕隆が両CBの間に落ちて、5バックを敷く。
そしてボールを奪うと、スピード自慢の1トップ、耕野祥護をターゲットに素早く前線に繋げ、セカンドボールを中に絞った南雄大と佐藤大斗の両ワイドが拾い、鋭いカウンターを仕掛ける。
「このやり方は初めての試み」と酒井監督が語ったように、前半から徹底した守備戦術を遂行してきた。

これに市船は苦しんだ。右の畑、左の植松建斗の両サイドバックが高い位置を取って、クサビやクロスを打ち込んでゴールをこじ開けようとするが、中央に3枚を置いた日体大柏の守備に弾き返される。
セカンドを拾って、鈴木や左MF加藤想音が狙うが、これも身体を張ったブロックに遭い、前半に6本のシュートを放つも、ゴールには至らなかった。

そして後半、均衡を崩したのは前半シュートゼロの日体大柏だった。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190615-00010002-sdigestw-socc
6/15(土) 17:53配信