◆ 日ハム新球場駅 JR慎重姿勢崩さず 検討は表明…費用、地元負担など課題山積

 北広島市で建設予定のプロ野球北海道日本ハムのボールパーク(BP)に隣接する新駅に関し、JR北海道の島田修社長は12日の記者会見で整備に向けた検討の本格化を表明した一方、設置の可否については明言を避けた。建設費の額や負担方法を巡る議論が進んでいないほか、JRの想定を超える利用客が新駅に殺到する懸念が拭えないなど課題山積のため、慎重姿勢に徹したとみられる。

 「(新駅設置の)議論の具体化には、どんな設備の駅で、どのくらいのお金がかかるのか私どもで提示しないといけない」。新駅検討を本格化するとの考えを示した島田社長が、会見で真っ先に強調したのが建設費の問題だった。

総工費100億円、北広島市との協議難航も

 新駅を設置した場合、JRは普通列車と臨時列車を新駅に発着させて観客を運ぶことを構想。特急、快速、普通列車、貨物列車も走る道内随一の過密路線の千歳線で運行ダイヤを確保するには、新駅は本線から分岐する「引き込み線」方式が有力となる。信号設備など大規模な工事が必要で、総工費は駅舎も含め100億円近くかかるとされる。

 「請願駅」の形で新設を要望している北広島市が想定する同市の負担額は30億〜70億円。JRが今後提示する建設費が市の想定を大幅に上回れば、費用負担をめぐる協議が難航する可能性がある。

バス、マイカー…アクセス分担の議論進まず

 もう一つの課題は交通アクセスの役割分担。北広島市はバスで7千人、マイカー1万2千人、JRで1万3500人を輸送すると想定するが、計画する2本のアクセス道路のうちBP開業に間に合うのは1本のみ。運転手不足が顕著な運行バスの確保も見通せていない。こうした中、新駅が先行してできれば、利用客が殺到し、JRの「新駅で8千人」という想定を超える可能性が高い。

 北広島市ボールパーク推進室の川村裕樹室長は「BPにとって新駅の建設は不可欠。検討は非常にありがたい。早期実現に向けて努力したい」と歓迎した。一方、記者会見で新駅について繰り返し問われた島田社長は、「新駅ができたからといって、すべて解決するものではない」と強調、新駅以外の交通アクセスの議論がなかなか進まない現状への不満をにじませた。

2019/6/13(木) 6:06 北海道新聞
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