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2019.5.3 11:30

「銀魂(ぎんたま)」シリーズなど邦画製作に力を入れてきた米配給大手の日本法人「ワーナー ブラザース ジャパン(WBJ)」が、邦画を世界に送り出す動きを加速させている。公開中のアニメ「バースデー・ワンダーランド」の米国公開を目指すほか、日本人監督を米本社に推薦する企画も進行。日本発の企画がハリウッド作品として誕生する可能性も出てきた。(高橋天地)

「バースデー・ワンダーランド」は、「クレヨンしんちゃん」シリーズの「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」で知られる原恵一監督(59)の新作。WBJで映画製作を統括するバイスプレジデント、池田宏之さんは「原さんは日本を代表する巨匠。広く世界に紹介すべき作品だ」とその魅力を評価する。6月の仏アヌシー国際アニメ映画祭への出品が決定しており、米国などでの公開を目指している。

WBJは、平成15年に邦画製作をスタートし、これまでに約40本を公開してきた。理由について「日本の映画市場で一定のシェアを持ちたかったが、洋画配給だけでは東宝、松竹、東映の大手3社とは勝負にならない。ならば、映画製作者として戦おうと考えた」と池田さんは説明する。

18年に公開した「デスノート」「デスノート the Last name」(金子修介監督)が大ヒットし、計80億5千万円の興行収入を記録。近年では、累計興収が約125億8千万円の「るろうに剣心」シリーズや同75・4億円の「銀魂」シリーズなどの人気作を次々と生み出している(いずれも日本映画製作者連盟調べ)。

近年は海外配給にも力を入れ、「るろうに剣心」シリーズを米国や欧州全域、「銀魂」シリーズを中国で公開しており、昨年公開の「BLEACH(ブリーチ)」も中国公開が決まった。

現在進めているのは、日本の優れた人材と企画を米本社に紹介し、ハリウッド作品として製作する取り組みだ。

「本社で製作すれば世界市場で勝負でき、日本では考えられない大きな商業的成功を収められる」とメリットを強調。昨年11月には「ちはやふる」シリーズの小泉徳宏監督(38)が本社の映画製作トップに自身の企画を提案した。近年「アベンジャーズ」など人気シリーズの続編ばかりが目立つハリウッドでは、各スタジオが企画のマンネリ化を懸念しており、本社もWBJの動きを歓迎。「ぜひ一緒にやりたい」と好感触だったという。

本社が承認すれば映画製作に着手。作品は米国をはじめ全世界で劇場公開されることになる。池田さんは「邦画製作を続けながら、有能な日本人の映画監督、プロデューサーを本社に売り込んでいく。日本発のハリウッド作品を世界に浸透させたい」と力を込めた。

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WBJが邦画アニメの目玉として米国などでの公開を目指す「バースデー・ワンダーランド」(公開中)