◆ F1ならぬFEが熱い!街のど真ん中を突っ走るモーターレース、日産チームに密着!

皆さんは「フォーミュラE(FE)」というモータースポーツのレースカテゴリーをご存じだろうか?
「F1(フォーミュラ・ワン)」と聞けば、今や知らない人はほとんどいないだろう。

たとえ詳しくなくても、一度や二度はF1について見聞きしたことがあるはずだ。
F1はFIA(国際自動車連盟)が主宰する世界最高峰の自動車レースとして長い歴史と世界的な知名度を誇っている。

一方、FEは同じくFIAが2014年より開催し始めた新しいレースカテゴリーだ。
F1がガソリンエンジン、いわゆる内燃機関を使ったレースであるなら、FEは「E」の文字が示すように「エレクトリック(電動)モーター」をその動力源として使っている。

近年はF1のパワーユニットもハイブリッド化され電動化を取り入れているが、FEは100%電動モーターのEVマシンとして走らせる環境に優しい新世代のモータースポーツとして位置付けられているのだ。
EVだから音は静かで排ガスも一切出さない。

実際に人間が乗って操れる「電動ラジコンカー」のようなものだ。
排ガスも騒音も出ないので市街地でも走らせることが可能となり、FEの開催はすべて市街地の特設コースで行われる。
 
従来の自動車レースのように人里離れた山間に大規模なサーキット施設を建設する必要がない。
日本でいえば東京の「お台場」や横浜の「みなとみらい」のような観光施設に敷設するような道路を封鎖し、コースを設営して開催することができる。
今季(2018〜19年)はシリーズ戦として全13戦が組まれているが、その第5戦となる「香港戦」を日産自動車の協力を得て取材観戦することができた。

■ F1のようなタイヤ交換作業がない?

香港島北西部、九龍湾に接する湾岸エリアの一般道を封鎖し全長1.8kmほどのサーキットが設営されている。
それは今季開催されるシリーズ戦のなかで最も1周の距離が短いコンパクトなコースになっているという。

コースは3車線道路や駐車場などをコンクリートブロックで簡易的に囲み、マンホールや路面の車線、パーキングマークなどの路面塗装がところどころにそのまま残されていて滑りやすい状況だ。
コースのすぐ横には大観覧車など遊園地のような施設とショッピングセンター、大規模ホテルも建っている。
まさに街のど真ん中で国際的なレースが開催されるというわけだ。

FEの特徴は、各チームが同一のマシンとタイヤを使用し、仮設コースゆえ事前テストは行えない。
1レース1セットのタイヤしか使えないルールで、仏ミシュラン社がオフィシャルサプライヤーとして一括してタイヤを供給している。

市販ラジアルに準じたトレッドパターンを持つ特性のラジアルタイヤで降雨時のウェット状態でも走れるため、F1のようなタイヤ交換作業がない。
実は昨シーズンまでのマシンはバッテリー容量が不足していて、約50分のレースの途中でピットインし充電済みのマシンに乗り換える(スワップ)という特殊な状況で運営されていたのだが、今季はバッテリー容量が大幅に強化され、またレース方式も周回数を定めた内燃機関車両と同じ規定から45分の時間制に改められ、1カーでスタートからゴールまで競えるわかりやすい運営方式に切り替えられたのだ。

そんなFEマシンの性能はというとモーターの最高出力が250kW(340HP<馬力>)。
385kgのバッテリーを搭載し900kgというシングルシーターのレースカーとしては非常に重い車両重量ながら、0〜100km/hの発進加速は2.8秒、最高速度280km/hを可能にするという。
だがコースやレースラップ、ドライビングスタイルによってバッテリーの持ちが変化するため、チームはそれぞれ独自にマネージメントし、最高速度を決めるギア比(最終減速比)もコースによって使い分けるという。

香港戦では200kWのパワーで45分を走り切るとしているが、今季から「アタックモード」というオーバーテイクモードが設定され、各ドライバーはコース場に設けられた「アクティベーションゾーン」をマシンでトレースすることにより25kW(34馬力)のパワーアップを得られる仕組みが採用されている。
アタックモードが使用されている間はマシンのHalo(ハロ・ドライバーを守る保護装置)に設置されたブルーのLEDが点灯し、そのマシンがアタックモードを使用していることが観客にもわかるようになっている。

※続きは下記のソースでご覧ください

ビジネスジャーナル 2019.04.18
https://biz-journal.jp/2019/04/post_27552.html
https://biz-journal.jp/images/post_27552_01.jpg