「昨年までとは違い、ベンチに覇気がない」

 ライバル球団のあるコーチが、広島についてこう指摘した。

 10日のヤクルト戦は3―15の大敗。これで4カード連続負け越しとなり、開幕11試合で3勝8敗と苦しんでいる。チーム総得点はリーグワーストの35。
自慢の打線が低調である上に、菊池涼、田中の二遊間コンビを中心とした鉄壁の守備にもほころびが見え、この日だけで4失策。今季17失策はリーグ最多だ。
貧打とザル守備が、ただでさえ脆弱な投手陣の足を思い切り引っ張っている。

 冒頭のコーチは、「中軸の丸が抜けた穴は確かに大きいと思う。3番に野間を入れたことで下位打線が弱くなり、1番田中、5番松山の不振も重なって、
得点力不足は顕著に。守備も乱れ、広島が得意としていたミスに付け込む野球を逆にやられている。何よりここまでもたついているのは、新井(貴浩)がいなくなったことが
影響しているのではないか」。

 広島は、チームの精神的支柱だった新井貴浩が昨季限りで現役を引退した。この“新井ロス”の影響について、さる広島OBは、「確かにある」と、こう続けるのだ。

「新井さんは(鈴木)誠也、菊池涼ら主力に限らず、さまざまな選手にことあるごとにアドバイスを送り、食事にも連れていった。現役選手ならではの説得力があったし、
人間性も慕われていた。昨年9月のDeNA戦、誠也が3三振していた試合でリリーフの三上を迎えると、新井さんはベンチで誠也を呼び、三上の得意球である
スライダー対策を伝えた。すると誠也は三塁打を打った。こういった類いの話は山ほどある。人一倍、声を出してムードを盛り上げてもいた。諦めない野球が徹底され、
終盤に強い『逆転のカープ』がつくられた。新井不在を選手一人一人が埋めていくしかないが、選手たちも存在の大きさを身に染みて感じているそうです」

 新井氏が引退を決意した際、球団は再三にわたって慰留していた。「新井ロス」の代償はあまりにも大きい。

日刊ゲンダイ
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