障害を扱う代表的なテレビ番組「24時間テレビ」と「バリバラ」。24時間テレビは1978年から放送が開始され、今年で42回目だ。チャリティー番組で、障害者が何かに挑戦してそれを乗り越えるドキュメントを放送している。一方、バリバラは2012年から放送が開始された障害者のための情報バラエティ番組だ。「生きづらさを抱えるすべてのマイノリティにとっての“バリア“をなくす」がコンセプトだ。

 障害者自立生活センターSTEPえどがわ理事長の今村登さんは「昔は24時間テレビでやってるようなドラマも素直に感動して見ていたが、途中から障害がない人が感動しやすいような作りにしているなというのが見えてきて、なんか胡散臭いな、ちょっと違うなって。障害者はいつも大変で苦労していて、貧しくて家もボロボロなところに住んでいてほしいと、みんなが思っているじゃないかな」と指摘する。

 筋ジストロフィーと戦う、会社員で歌手の小澤綾子は「24時間テレビのオファーを2年くらい前に頂いたが、“小澤さんが生きてきた中で、たくさんのご苦労があったと思う。そして、たくさんの方に支えられて生きてこられたと思う。そのずっと言えなかった思いをここで言ってみないか“みたいな感じだった。私としては、別にそんなに人に言えなかったことはないしなと違和感があったので、“ごめんなさい。私には皆さんを感動させられるストーリーはない“と言った。そうしたら“よく考えてみてください。本当にないのか?“と。結局、出演をお断りした」と明かす。

 神田外語大学専任講師の塙幸枝氏は「いわゆる“感動ポルノ“という言葉を日本でも耳にするようになったと思う。つまり見ている人が気持ちよくなるために、メディアが障害者を道具として使うことだ。戦後、医療や福祉が発達する中で、障害者に批判的な目を向けることがタブー視されるようになった。本来は差別的ではない多様な描き方があったはずだが、保護の対象というのが収まりが良かった。その流れのまま、ずるずるときているのかなという感じがしている」と指摘する。

 パンサーの向井慧は「大道芸人に聞いたことがあるが、路上で芸をやってお金をもらうとき、最後に感動させると額が変わってくるそうだ。24時間テレビはチャリティー番組でもあるので、そういう事情もあると思う」と話す。

 作家の乙武洋匡氏は「僕の中で24時間テレビに対する見方が変わったきっかけは東日本大震災だった。私も震災直後に被災地に行かせて頂いた。皆さんがまだ失意の中にいらっしゃる中、いつまでもくよくよしていてもしょうがない、頑張っていこうと立ち上がって行動をしている方がいて、お話を聞いていたら、不思議と感動したり、パワーをもらったと感じる自分がいた。“あれ、これいつもの俺の逆側じゃん“と思った。僕は別に周りの人に勇気を出させようとか、感動させようと思っているわけではなく、ただ僕が普通のことをしているだけで、感動した、勇気をもらったと言われる。正直、それをうざったいなとも思っていたが、被災地の方々だって、東京から来た僕を感動させようと思っているわけでも、勇気を与えようと思ったわけでもない。自分たちの生活のために立ち上がった。それを外部から来た僕が勝手に受け取った。同じことじゃんと思った。これが人間の本能に近い感情なので、否定するのはあまり意味がないのかなと。24時間テレビも、そういう一面だろうと。ただ、違う扱い方も必要なんだという意味では、NHKの『バリバラ』は24時間テレビを補完する存在としてすごく貴重だと思っている」とコメントしていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


4/8(月) 12:05配信 AbemaTIMES
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