2019年4月3日 16時0分

 ショーケンの愛称で親しまれた萩原健一さん(享年68)が3月26日、希少がんの1つである消化管腫瘍(GIST)のため亡くなった。


 毀誉褒貶の激しい人で、「永遠の不良少年」と呼ばれた萩原さんだったが、2011年にモデルの冨田リカさん(57才)と結婚してからは、穏やかになった。

 そして、俳優業や歌手業に力を注ぎ、2016年にNHKで11年ぶりにドラマ復帰した。2018年には自身のレコードレーベルを立ち上げ、22年ぶりとなるシングル『Time Flies』をリリースした。

 だが精力的な活動の裏側で、病魔は着実に萩原さんの体を蝕んでいた。秋津医院院長の秋津壽男医師が解説する。

「GISTは非常に珍しい病気で、発生頻度は10万人に1〜2人です。私は40年近く内科医をやっていますが、GISTの患者を診たことはありません。この病気は粘膜の内側に腫瘍ができるため発見しにくく、治療法も確立されていないので、見つかった時は手遅れというケースが多い。元気だった患者の容体が突然悪化して死にいたるタイプの病気ではなく、長く苦しい闘病生活の末に亡くなることがほとんどです」

 リカさんは夫の死の2日前に自身のブログを更新し、元気そうにバランスボールに乗る萩原さんとのツーショットを掲載して、《私たちはときどき一緒にジムに行くんです》との文面を添えた。

「この写真にはリカさんの願いが込められていました」と語るのは、リカさんを古くから知る芸能関係者だ。

「彼女がブログにアップしたのは、まだショーケンが元気だったころの写真。実際には死の数日前の彼は、元気に動ける状態ではありませんでした。リカさんは最期の瞬間まで周囲に“ショーケン健在”をアピールしつつ、夫の回復を祈っていました」

◆異例の“スピード火葬”

 だが必死の願いは届かず、萩原さんは帰らぬ人となった。そして、死の翌日には家族だけで火葬と密葬が営まれた。あまりの「スピード火葬」に、ある芸能事務所の幹部がため息交じりにつぶやく。

「ショーケンほどの大物芸能人なら、遺体と対面して直接お別れを言いたいという人はたくさんいます。“火葬する前に一本連絡ぐらいほしかった”と残念がる関係者は少なくありませんでした。なぜ遺族は火葬を急いだのか、ショーケンと親しかった人からは困惑の声が上がっています」

 高齢化の進む現在、亡くなる人は増加の一途をたどり、首都圏の火葬場は常に混雑している。大手葬儀社アーバンフューネスが約6700件の葬儀データを集計したところ、「死亡してから家族葬をするまでの平均日数」(2018年)は、都内の火葬場で約6日だった。死の翌日に火葬を済ませた萩原さんはかなりのレアケースだ。萩原さんの兄は言葉少なにこう話す。

「葬儀をしたのは、以前(萩原さんが)住んでいた神奈川県の鶴見近辺です。自宅がある都内ではありません」

 つまり、リカさんは愛する夫の葬儀場を求めて「越境」したことになる。そこまで火葬を急いだ理由について、前出の芸能関係者は「すべてショーケンが望んだことです」と指摘する。

「ショーケンは暴れん坊の自分を変えてくれたリカさんに心から感謝しており、苦しい闘病生活も彼女の励ましで頑張ってこられた。彼はよく“リカがいなければおれはとっくに死んでる”と言っていましたから。

 そんな彼にとって、自分の死後に妻がトラブルに巻き込まれるのは何としても避けたかった。実際、3人目の妻との離婚時には泥沼の慰謝料裁判があり、映画関係者とギャラでもめることも多かった。彼の場合、金銭面や交友関係のもつれがどこに残っているか自分でもわからない。トラブルを避けるため、リカさんに“死んだらすぐに葬ってほしい”と言い残していたんです」

 あっという間にこの世からいなくなった萩原さん。それもまた、常に自由を求めた彼らしい最期かもしれない。

※女性セブン2019年4月18日号
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/16260769/