サッカー男子日本代表は3月22日、神奈川県の日産スタジアムでコロンビアと親善試合を行い、0対1で敗れた。前半から中島翔哉(24)を中心に攻めたが、コロンビア守備陣を崩しきれず、逆に後半、コロンビアにペナルティキックを与えてしまい、ファルカオに決められた。

後半途中から香川真司(30)が出場。中島と香川の新旧“10番”が約30分ほどピッチで共闘したが、どちらもゴールを決めることはできなかった。試合後、中島は「0点で終わっているのは悔しいですし、また次は得点を取ってしっかり勝てるように頑張ります」と話した。

 今回の注目は昨年のワールドカップロシア大会を含め長年10番を背負ってきた香川が、森保一監督体制になって以降、初めて選出されたこと。また、森保体制になって10番を背負って大活躍している中島も選ばれ、W杯以降、初めて新旧の10番がそろい踏み。今回は香川が背番号10、中島が背番号8となったが、どちらが日本代表の司令塔なのか、真価が問われた。

 先発した中島は、得点こそ結び付けられなかったが、キレのあるドリブルやパス、そしてミドルシュートで日本の攻撃を引っ張った。一方、香川は後半途中から出場し、中島と一緒にプレーした。久しぶりの代表でのプレーで短い時間ながら積極的なプレーを見せた。

 久しぶりに、代表で10番以外の背番号を背負った中島は、改めて気にしていないと強調した。
 
「10番について何も言われてなかったですし、自分がつけたいって言ってるわけでもないですし、全然気にしてないです。やっぱりプレーが一番大事だと思います。香川選手がずっと代表で10番をつけていたのを知っているので、(6月に参加する大会)コパ(・アメリカ)でもつけてもらいたいです。そこはそんな気にしてないですし、番号は何番でもいいとはいってます」

 中島は初めて香川と一緒に試合に出たと話し、新旧10番の共闘の可能性について、前向きだ。

「(香川は)日本人なら誰でも知っている選手なので、能力もすごく高いですし、一緒にやっていてやりやすく、頼もしく感じました」

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香川真司(c)朝日新聞社

 一方、久々の代表選だった香川は、冷静に振り返った。

「(代表メンバーの中で)経験値は一番高いと思っているので、そのへんの自覚を非常に求められていると思うので、(自覚を)強く持ちながら、個人としても(次の試合に)準備していきたい」

 今回のように新旧10番が同時にピッチで並び立つことは今後も可能だろうか。試合を取材したサッカージャーナリストの六川亨さんは、こう見る。

「やっぱり中島のチームになりましたね。香川が途中から入ってきましたが、攻撃の中心は中島。香川も中島の意図をくみ取りながらプレーしていた。前半は中島がボールを持つと、中島がドリブルで突破するのを信じて、周囲の選手が動き出していました。攻撃のスイッチを入れる役割になっていた。実質の10番は中島ですね。(二人同時起用は)できると思います。ただ、香川は当面生き残れると思いますが、森保監督のファーストチョイスは、香川とポジションを争う南野(拓実)になるとは思います。香川はオプションとしての起用が多くなるかもしれませんね」

 26日には神戸でボリビア戦を行う。二人がどういう起用され方をするのか、再び新旧10番の共演は見られるのか注目だ。(本誌 大塚淳史)

2019.3.23 14:41週刊朝日
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