チームを躍動させた中島

 2022年、カタールW杯で日本代表を牽引するのは香川真司ではなく、中島翔哉――。コロンビア代表を招いてのキリンチャレンジ杯が3月22日に日産スタジアムで行われた。

 日本代表はPKから許した失点で0-1と敗れ、昨夏のロシアW杯に続く連勝はならなかった。

 香川真司がロシアW杯以来となる代表入りを果たし、背番号10のユニホームを着ることになり、それまで背番号10を背負っていた中島翔哉との“新旧10番対決”が注目されたコロンビア戦。試合には敗れたものの、森保ジャパンの「攻撃のスイッチ」を入れるのは中島だということが、より明確になった試合だった。

 そして、改めて1月のアジアカップを負傷で中島が欠場したことが惜しまれるほど、圧倒的な存在感を発揮した。

 試合後、コロンビアのカルロス・ケイロス監督は「日本の特徴、強さはわかっている。アジリティとスピードがあり、技術も高く、縦への攻撃力がある」と評価した。その原動力となったのが、左サイドからスピードに乗ったドリブルで攻撃陣を牽引した中島だ。

 中島がドリブル突破を始めると、彼に連動するようにトップ下の南野拓実、右MF堂安律だけでなく、ボランチの柴崎岳と右サイドバックの室屋成までが全力疾走で駆け上がる。

 圧巻だったのが前半17分のプレーで、中島から中央の南野経由で右サイドの堂安にパスが渡る。室屋は右タッチライン際を、手を上げてパスを要求したが、堂安はシュートを選択。これはゴール枠を外したものの、コロンビアDF陣に守備の時間を与えない見事なショートカウンターだった。

中島に続くキーマンは柴崎

 中島が左サイドで攻撃の起点になり、中央の南野が絡みサイドへ展開して、堂安もしくは室屋がフィニッシュに顔を出す攻撃は、その後も続く。小気味よいカウンターにゴールの予感は漂い、森保一監督も「(得点が)ゼロで終わる試合ではなかった」と振り返ったが、相手GKのファインプレーでコロンビアのゴールをこじ開けることはできなかった。

 後半20分には1トップの鈴木武蔵に代わり香川が投入されると、南野を前線に、トップ下に香川を置く「ゼロトップ」にシフト。その香川も、劣勢を押し返した試合終盤は積極的に左サイドの中島にパスを送り、彼の良さを引き出そうとした。

 残念ながら後半10分過ぎより前半のハイペースがたたったのか、日本の攻撃はトーンダウン。「後半は日本のフラストレーションが溜まったところに、裏のスペースを狙って攻撃できた。前半は日本の攻撃を抑え、疲れてきた後半に攻めに出た」(ケイロス監督)狙い通りのプランでもあった。

 コロンビアの攻勢を押し返せなかったのは、クリアを正確に味方につなげず、セカンドボールを拾われからだ。ここらあたりが、今後は改善の必要がある。

 最後にもう1点、キャプテンを務めた柴崎の変化にも触れておきたい。これまでの柴崎は、どちらかというとパサーの印象が強かった。ロシアW杯決勝トーナメント1回戦のベルギー戦で、原口元気の先制点を演出したスルーパスに代表されるプレーである。

 しかしコロンビア戦では中島のドリブルをフォローするフリーランニングや、右サイドの深い位置まで攻め上がるなど、これまでとはひと味もふた味も違うプレーを披露して攻撃陣を牽引した。中島とともに最後までピッチに立ったことからも、彼も森保ジャパンではキーマンと考えていいだろう。


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