米津玄師の全国ツアー「米津玄師 2019 TOUR / 脊椎がオパールになる頃」が、昨日3月11日に千葉・幕張メッセ国際展示場にてファイナルを迎えた。

昨年3月に発表された楽曲「Lemon」がさまざまな記録を打ち立て、年末には「NHK紅白歌合戦」初出場を果たした米津。1月9日の徳島・アスティとくしま公演を皮切りにスタートしたキャリア初のアリーナツアー「米津玄師 2019 TOUR / 脊椎がオパールになる頃」では全国8カ所16公演を実施し、計17万人以上を動員した。

三角形の鋭利な形状の花道が印象的なステージに、バンドメンバーの中島宏士(G)、須藤優(B)、堀正輝(Dr)に続いて米津が登場すると、会場から大歓声が湧き上がる。背後のモニタにピンクの三角形が3つ映ると同時に米津は「Flamingo」でライブをスタート。こぶしを効かせた歌声を響かせ、音源と同じように“返事”をして観客を盛り上げた。続く「LOSER」では花道へと歩みだし、そのままリフトアップされるという演出でオーディエンスの度肝を抜く。米津は上昇したステージにしゃがみこみ、フロアを見渡すと高らかに笑った。

「砂の惑星」で米津は体をくねらせながらステージの端から端まで歩き、観客と一緒に声を上げる。「ありがとう! どうも、米津玄師です。ツアーファイナル幕張、今日は1日楽しい日にしましょう!」と呼びかけるとギターを手に「飛燕」へ。軽やかなギターサウンドが会場にさわやかな風を吹かせる中、カレイドスコープのようなエフェクトがかかった米津の姿が巨大なビジョンに映し出された。

童謡のようなメロディと温かみのあるサウンドの「かいじゅうのマーチ」、パステルカラーの世界観とバンドの力強いアンサンブルで魅せる「アイネクライネ」を披露したあと、米津は「みんな元気かい?」と口を開く。そして「心残りもなくお互い今日が人生で一番楽しかったなと思える1日を作り上げましょう」と呼びかけ、極彩色の映像をバックに「春雷」を歌い上げた。

ポップな楽曲が続いた序盤から一転、2人のダンサーが登場した「Moonlight」を契機にライブはディープなゾーンへと突入していく。「fogbound」では12本の細いLEDパネルからなる巨大なセットが大胆に動き、「amen」ではダンサーがスモークに包まれながら不気味なダンスで楽曲の世界観を演出。「Paper Flower」では米津が声を振り絞るように、エモーショナルな歌声を響かせた。続く「Undercover」では、昨年の幕張公演でも話題となった、鼓和-core-による迫力のあるドラムパフォーマンスが繰り広げられ、米津を筆頭に鼓和-core-が花道を行進。米津は生々しい歌声や美麗なファルセットなど、ツアーを通して一段とスキルアップした巧みなボーカルで観客を圧倒した。

バンドメンバーそれぞれの手腕が光る「ピースサイン」ではステージから銀テープが発射され、会場の盛り上がりはピークに。タフな演奏で魅せる「TEENAGE RIOT」をパワフルに歌い上げた米津は、2万7000人の観客を見渡して「とんでもない人の数ですね」と驚きながら、大勢のファンが一堂に会した奇跡のような空間を噛みしめる。そして自分の活動を1隻の大きな船に例え、「船から1人も落としたくないなと思うんです。できる限りですけど、誰1人この船から落とさずにやっていくために、普遍的なもの、ポップなものを作るためにはどうしたらいいかと苦心しながら、理想と現実や悲観と楽観みたいなものに引っ張られてよろけながらまっすぐ進んで行く……それがポップミュージックだと思っていて。その中で積み上げてきたものが、自分とどこかで同じことを考えてくれている人間が天文学的な確率で集まってくれる。こんなにうれしいことはない。今までやってきたことが間違っていないとみんなが証明してくれました。自分の音楽が続いていく限り、こういう美しい光景が続いていけばいいなと思います」と、ファンに感謝の意を示した。

疾走感のある「Nighthawks」でラストスパートをかけた米津は、ドラムパフォーマーたちに囲まれながら「orion」を披露。揺らめく炎が消え、会場にレモンの香りが立ち込める中「Lemon」が始まると、観客は息を呑んで米津の歌声に聴き入った。レモンの香りが消えないうちに米津は両手を大きく広げておじぎをしてステージを去り、ステージの細長いLEDパネルにはツアータイトルにある脊椎が映し出された。

>>2以降に続きます

2019年3月12日 0:20
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