いくら弘法でも、筆がぽっきり折れてはどうしようもない。“マイケル・ジョーダン以来の逸材”と謳われたデューク大のザイオン・ウィリアムソン選手(18)を襲った悲劇は、まさにそんな事態だった。靴底が剥がれたナイキ製のバスケットシューズは「PG 2.5」なるモデルだという。

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 事故が起きたのは、現地時間2月20日に米国ダーラムで開催されたデューク大vs.ノースカロライナ大の試合だった。開始早々、ドリブルで相手ゴールに向かったウィリアムソン選手だったが、敵をかわそうとした瞬間に、左足が滑ったような動きを見せる。と、そのままその場に座りこんでしまい、顔には苦痛の色が。足元には小指側から靴底が裂けたバスケットシューズがぶらさがる……。ウィリアムソン選手は膝の負傷でそのまま戦線離脱。チームは88-72で敗れてもいる。

 日本でも大きく報じられたニュースだが、本場である海の向こうではその比でなかった。事故を受けての株価下落で、ナイキは時価総額約1200億円を失った。そんなこともあって、スポーツメディアはもちろんのこと、経済メディアまでもがこの事故を扱ったという。

「日本でいえば、将来を有望視された高校球児が甲子園で肩を壊した、といったところでしょうか。今回の試合のチケットはスーパーボウル並みの高額で取引されており、いわゆる転売価格は安くても3千ドル(およそ33万円)台、良い席では6〜7千ドルにも跳ね上がっていたと報じられています。オバマ元大統領も観戦に訪れた話題性、そして何よりウィリアムソン選手の人気によるものでしょう。インスタグラムのフォロワー数は250万人と、すでに多くのNBAプロ選手を超えていますから」(北米在住ライターの関陽子氏)

 ウィリアムソン選手については、冒頭でご紹介した“ジョーダン以来の逸材”ほか、「キング」こと“レブロン・ジェームズ2世”なんてあだ名もつけられているそう。身長201センチ、体重は129キロ。NBAのドラフト1位は確実視される存在だった。

 将来が悲観されるレベルの怪我ではないというが、23日、26日に予定されていた試合も欠場し、いまだ復帰のめどは立っていない。ちょっとありえないレベルで壊れたナイキの靴は、どんなものだったのか。


■3試合連続で同じ靴

 報道によれば、ウィリアムソン選手が履いていたのは、「PG2.5」というモデルだったとされる。試みに日本のナイキ公式サイトを覗けば、ウィリアムソン着用の“デューク大カラー”の色違いが売られていて、生産国は「ベトナム」となっている。お値段1万4千円から“セール価格”の8千円台まで4種類だ。将来有望のスターが履くにはちょっとお安い気がするけれど、

「プロならまだしも、ウィリアムソン選手は学生選手ですからね。靴が特注であったとも報じる媒体はなく、むしろスポーツメディア『247 Sports』は“なぜ110ドルで売られている『PG2.5』を?”といった論調の記事を掲載してもいます。ウィリアムソン選手は、350ドルの『Adapt BB』や130ドルの『カイリー5』など10種類のナイキ製シューズを試し、『PG2.5』を選んだなんて説も紹介されています」

 ナイキのバスケットシューズは、主にベトナムと中国、インドネシアなどで生産されている。ご本人が良しと思って決めた靴なのだから安い靴でもいいじゃないか――という声もあるだろうが、問題はその履き方、あるいは履かせ方にもあったようだ。

「“ウィリアムソン選手の体格を考えれば、『PG2.5』ではなくて『LeBron』のほうが相応しかった”なんて指摘もありますが、それはさておき、気になるのが“3試合連続で同じ靴で出場していた”という点です。なんでもプロ選手の場合は、試合ごと、あるいは長くても1週間ごとには靴を新調するというのです。ロックバンドのドラムがライブごとにドラムヘッド(皮)を張り替える、あるいはギターの弦を交換するイメージでしょうか」

>>2以降に続きます

2/28(木) 6:31配信 デイリー新潮
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