いつか中央競馬のレースで騎乗したい――。そんな夢を追い続けて海外で戦ってきた日本人騎手がいる。藤井勘一郎騎手(35)が12日、日本中央競馬会(JRA)の騎手免許試験に6度目の挑戦で合格した。27年ぶりの「逆輸入ジョッキー」の誕生だ。

 滋賀県栗東市のJRA栗東トレーニングセンター。12日午前10時、1月30日にあった2次試験の結果が張り出され、名前を見つけると、藤井騎手は体をのけぞらせて「やったー! めっちゃうれしい」と声を張り上げて喜んだ。そして、「ゴールではない。まずは第一歩が踏み出せたと思っています。ここから自分の戦いが始まります」と顔を引き締めた。

 藤井騎手はオーストラリアを中心に韓国やシンガポールなど約70カ所の競馬場で騎乗してきた。通算勝利数は520勝を超える。「日本の競馬界は馬を育てる能力、賞金の高さや制度など、世界でも高いレベルにある。いつかは日本で、との思いはありました」と話す。

 奈良県中西部の御所(ごせ)市出身。初めてサラブレッドを生で見たのは小学6年のころ。父と行った京都競馬場(京都市)で騎手のムチを振るう音や、馬のスピードや足音に衝撃を受けた。ムチやゴーグルのレプリカを買ってもらい、地元の乗馬クラブの会員にもなった。

 中3でJRAの競馬学校の受験を目指したが、体重制限を超えて断念。オーストラリアで騎手になる道を雑誌で知り、1999年、15歳で現地の競馬学校へ入学。ホームステイや調教師の家に住みながら腕を磨いた。初勝利は見習い騎手だった2002年だ。

 実績を積み上げて09年、日本…残り:1249文字/全文:1899文字

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2019年2月12日11時33分
朝日新聞デジタル
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