木村佳乃主演の連続テレビドラマ『後妻業』(フジテレビ系)の第3話が5日に放送され、平均視聴率は前回から0.3ポイント減の6.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。
第1話の8.7%から2話連続での減少となった。

「後妻業」とは、遺産相続目当てで資産家の老人の後妻に収まり、次々と大金をせしめる詐欺のこと。
木村は、天才的な手管で男をたぶらかす後妻業の女・武内小夜子を演じる。ターゲットを小夜子に紹介する結婚相談所経営者・柏木亨を高橋克典が、小夜子に狙われた資産家の娘・中瀬朋美を木村多江が演じる。

第2話のラストで、謎めいた小夜子の過去がほんの少しだけ明かされ、今後の展開に期待を持たせたが、それを受けた第3話はどんな内容だったのだろうか。
結論から言うと、ほぼ全編尺稼ぎ。予告ではいかにも話が進みそうだったのに、結局のところほとんど前に進まなかった。

確かに、朋美が依頼した探偵・本多芳則(伊原剛志)が小夜子の結婚歴を調べ上げ、歴代の夫が全員事故死もしくは自殺していることを突き止めはしたが、別にそのくらいのことは調べればすぐにわかる。
取り立てて本多が有能なわけでもなく、小夜子も自身の過去がバレることくらいは想定内のはず。ストーリーにまったく緊迫感がない。

本多の報告を受けて小夜子への疑いを強めた朋美は、突然、小夜子の家を訪ねて直接対決を挑むが、「全員孤独で早く死にたがっていた」と開き直られ、まともに反論もできない。
朋美の父・耕造(泉谷しげる)も「殺してくれ」と小夜子に頼んでいたと聞かされ、「警察に突き出してやる」と激高して部屋を飛びだすのが精いっぱいだった。

この場面、木村佳乃と木村多江の“ダブル木村”対決自体はあからさまにコント的な演出で笑えたが、ドラマとしておもしろかったかといえば結構微妙である。
このドラマが10話あるとすれば、まだ序盤も序盤なのに、この時点で被害者(?)の娘が後妻業の女にド直球勝負を挑んでどうするんだよ、という感想しか持てない。
もっと泳がせてネタをそろえてから理詰めで追い詰めなければ、ドラマとして盛り上がりようもない。

夫が次々と死んでいるという事実に対して「みんな死にたがっていた」と開き直り、「殺したのか」と聞かれれば「殺してはいない」と小夜子がのらりくらりと追及をかわすのはいい。
本来なら、何週間も引っ張れるネタである。つまり、小夜子は本当のことを言っているのかいないのか、言い換えれば小夜子は根っからの悪女なのか実はそうでもないのか、という問題である。
小夜子を得体のしれない人物として描いていれば、その一点に視聴者の興味を集めることができたはずだ。

だが、このドラマは謎を提起するとともに、ほぼ答えを提示してしまうという大きなミスを犯しているように思える。なぜなら、小夜子は本当に夫たちの死を悲しみ、心を痛めている(ように見える)からだ。
映像上のミスリードである可能性も捨てきれないが、素直に受け取れば小夜子は単なる悪女ではないと考えるのが自然だ。「みんな死にたがっていた」という発言も、100%ではないにせよ、おおむね事実に近いのだろう。

小夜子の本性は、ドラマ最大の謎としてもう少し先まで取っておくべきだった。視聴者はこの先、何を楽しみにこのドラマを見ればよいのだろうか。

http://dailynewsonline.jp/article/1683293/?page=2
2019.02.07 19:05 ビジネスジャーナル