1/27(日) 21:33配信
貴景勝、大関見送りの理由と課題 初場所千秋楽


◇勝っていれば昇進だった

 関脇玉鷲の初優勝で幕を閉じた大相撲初場所千秋楽(27日、東京・両国国技館)、関脇貴景勝が今場所後の大関昇進を逃した。豪栄道に一方的に押し出され、11勝4敗。次の春場所に昇進を懸けることになった。カギは「安定感のある突き押し相撲」という難しい力士像にどれだけ近づけるかだ。

 2番前に玉鷲の初優勝が決まった後の結びの一番。立ち合いにいつも通り低く当たった貴景勝だが、豪栄道の方が頭半分低かった。先に押し込まれ、右ものぞかされると、たまらず左で引いて相手を呼び込む。そのまま一気に正面土俵へ押し出された。
 引き揚げてきた後、記者の質問を「ちょっと待ってもらっていいですか」と制し、しばらく頭の整理をしてから答え始めた貴景勝。「低くいったつもりだったけど、低さ負けした。押し込めなかった」「思い切りいったと思うけど、手が伸びなかった」とうつむき加減に話した。「思い切りいったと思うし、集中もしているし」と、優勝の望みが消えた影響は、思い当たらないようだった。
 勝っていれば場所後に大関へ昇進するところだった。それが分かったのは打ち出し後。番付編成を預かる審判部の阿武松部長(元関脇益荒雄)が「もう1場所見させていただきたい。きょう勝てばと思っていたが、負けたので」と明かした。
 貴景勝は昨年秋場所が小結で9勝。九州場所は13勝で初優勝。今場所は新関脇に昇進し、前半に3敗したものの盛り返した。白鵬を倒し、優勝の可能性もよみがえって、14日目には11勝を挙げた。
 秋場所が9勝だったので、今場所前は「大関とり」と位置付けられず、始まってからも昇進ムードは全くなかったが、11勝したことで最近3場所の成績が大関昇進の大体の目安となる「三役で33勝」に達した。しかも連覇の可能性も出てきたとなれば、検討には値する。
 この日正午すぎ、審判部で協議が行われたが、取組前に明らかにされたのは「最後の1番まで見て、結論は審判部長・副部長に一任となった」(阿武松部長)というところまで。優勝を逃しても、12勝したら昇進させるつもりだったのは、取組後に明かされた。
過去の例に照らせば、数字だけは遜色ない。もっと少ない勝ち星で大関になった例もある。貴景勝は優勝もしている。それでも「いろんな意見があった」という。突き押し相撲であること、先場所は引き技で勝つ相撲も目立ったことから、「昇進したらやっていけるか」と不安を抱く親方もいた。

◇「安定感のある突き押し相撲」を
 相手と離れて取る突き押し相撲は、波に乗ると大勝ちもできる半面、まわしを取らないので一歩間違うと体勢が崩れやすく、波が大きくなる。過去に横綱・大関になった突き押しの力士は、四つになっても相撲を取れた力士が多い。
 ただ、貴景勝の場合は安定感を評価する親方が多い。「突き押し相撲の中では抜群の安定感がある。(引かない)正攻法も増えてきた。大関に近い力士であることは確か」と阿武松部長。
 師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は貴景勝の強みを「頭で当たって押して、当たって押して、また当たって押して。それができる」と語り、平幕優勝2回の実力者だった朝日山親方(元関脇琴錦)も「テンポがいい。相手はいつの間にか貴景勝のリズムになってしまう。俺たちの時代にいたとしても、嫌な相手だっただろう」と特長を挙げる。
 それを可能にしているのが身長175センチ、体重169キロの体型だ。師匠は「土台がしっかりしている。(身長が低くて)ちょうど前に落ちない角度で当たれる」という。
 ある親方はもっと端的に解説した。「背が低くて横に広い。手足が短くて起き上がりこぼしみたいだから落ちない。相手もまわしを取りにくいし、差しにくい」。稽古不足で前に落ちる相手が多いことも、貴景勝を助けている。
 九州場所が13勝、今場所が11勝。数字だけなら9勝でも33勝になるが、1桁勝ち星に落ちて昇進はあり得ない。少なくとも10勝は求められる。「相手は貴景勝のリズムに合わせないことだ」「劣勢の時にしのいで勝ち星を拾うこともできないと大関は守れない」「今の稽古で十分なのか。今しないと先々持たない」など、親方たちは早くも課題を指摘する。

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